2011年8月23日
先日、骨髄移植推進財団から「重要」「親展」のスタンプが押され、
表に「大切なお知らせです。至急開封してください」と書かれた、
オレンジ色の大きな封筒が届きました。
私は大学生の頃から骨髄移植バンクにドナー登録していますが、
こういう封書が届くことはめったになく、十数年で2度目です。
患者さんと白血球の型が一致しドナー候補になったという連絡でした。
ドナーになれば白血病の患者さんの命を救うことができます。
文字通り人の命を救えるチャンスなんて、そうそうありません。
張り切ってドナーコーディネート用の問診票を書きました。
しかし、ドナーコーディネート用の問診票を記入していて、
ドナーになるには、家族の同意が必要なことに気づきました。
配偶者の同意がいることに気づきいて相談してみました。
あっさり同意してくれるものと思い込んでいたのですが、
妻は意外と深刻に考えているようでおどろきました。
「ドナーになると死んだり、後遺症が残ったりしないの?」と聞かれ、
私は「滅多にないよ。あっても何千分の一の確率だよ」と答え、
それで議論は終わるものと簡単に考えていました。
私は楽観的なので「何千分の一なら自分が死ぬはずはない」と思い、
何にも感じずに、よろこんでドナーになる気でいました。
まったく「命がけ」という感覚は自分にはありませんでした。
しかし、妻は「何千分の一でも死ぬ可能性があったら怖い」と主張し、
骨髄移植ドナーの危険性について詳しく調べることになりました。
さっそくインターネットで調査したり、パンフレットを読み返したり、
臓器移植法改正の時にお世話になった厚労省移植対策室に問い合わせ、
わざわざ厚労省の医師免許を持つ職員から説明を受けました。
いろいろとデータを集め、厚労省の医系職員のご指摘を踏まえ、
ここ20年近くドナーの死者は出ていないことなどを説明して、
やっと納得してくれました。
ところが、よろこび勇んで問診票を提出したら、その数日後に、
骨髄移植財団から患者さんの都合でコーディネーションをやめる、
との連絡が入り、がっかりしました。
ここでいう「患者さんの都合」には、いろんなケースが考えられます。
ドナー候補は複数名指名されるので、私以外の人がドナーに選ばれて、
無事に移植手術を受けられることになったのかもしれません。
あるいは私の健康診断結果(飲み過ぎで肝臓やや悪し)が芳しくなく、
お医者さんに却下されたのかもしれません(自業自得です)。
あるいは患者さんが移植手術を待てずに亡くなられたのかもしれません。
どんな理由かはわかりませんが、せっかく覚悟を決めていたのに、
残念な気持ちでいっぱいです。
引用元yamauchi-koichi.cocolog-nifty.com/