また、先般、安倍総理が述べた「侵略という定義は
学界的にも国際的にも定まっていない」との発言も、
国際的に波紋を投げかけています。
日本の国益に大きな悪影響を与えかねません。
侵略戦争を否定するのは、明らかにムリがあります。
以前にブログでも書いたので、繰り返しません。
*ご参考:2013年3月27日付ブログ「侵略戦争という事実」
http://yamauchi-koichi.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-50c1.html
中国や韓国の反感を買うだけでは終わりません。
せっかく関係改善が進んでいるロシアとの関係でも、
同盟国のアメリカとの関係でも悪影響を及ぼします。
南京虐殺や従軍慰安婦問題は、議論したら負けです。
相手の土俵に乗って議論し、文献を細かく引用しても、
国際社会が日本に好意的になることはありません。
第一次安倍内閣の時に始めた日中歴史共同研究でも、
南京事件に関して、虐殺された人数で諸説あるものの、
虐殺が発生した事実自体は否定していません。
南京虐殺自体を否定することは、国際社会においては、
アウシュビッツを否定するのと同じような印象を与え、
日本にとって決してプラスになりません。
国際世論はイメージで動きます。
文献や資料を引用した緻密な議論では動きません。
従軍慰安婦問題では細かな文献を引用して反論しても、
相手は歴史家や政治学者ではないので効果は薄いです。
また、従軍慰安婦の強制性は、オランダの例等もあり、
完全に否定するのは不可能だと思います。
勝ち目のない論戦で相手の土俵に乗ってはいけません。
やり過ごすのも手です。黙っていれば問題のない話を、
安倍総理や高市政調会長、橋下共同代表が持ち出して、
日本のイメージをあえて悪化させています。
第一次安倍政権のときに従軍慰安婦に関する発言で、
米国世論を敵に回したことを忘れてはいけません。
今年6月のG8サミットでは「紛争下の性暴力」が、
議題になることが予定されています。
現在の国際社会では紛争時の性暴力は戦争犯罪とされ、
注目を集めるテーマになりつつあるタイミングで、
従軍慰安婦問題で韓国から工作をされると不利です。
従軍慰安婦のような制度は他国の軍隊にもあったとか、
単なる公娼制度の軍隊版だから批判される筋合いはない、
という反論は、現在の国際社会で説得力を持ちません。
万引き犯が銀行強盗に向かって「お前たちは悪党だ。
おれはたいしたことはやってない」と開き直る程度の
説得力しかありません。反論してもムダです。
従軍慰安婦問題では波風を立てないのがベストです。
当時の国際社会の状況なんてまったく重要ではなくて、
いまの価値観で過去を裁くのが国際世論です。
その裁きは必ずしも公正ではないかもしれませんが、
それを受け入れざるを得ないのが現実です。
さもないと「安倍政権はファシズムを肯定し、
歴史を再評価している」と中傷されます。
黙っていればいいのに、あえて波風を立てるのは、
日本の中長期的な国益を損うだけです。
引用元http://yamauchi-koichi.cocolog-nifty.com/blog/