日本では「校長先生を民間人にすれば、
教育の質が高まる」といった考え方が、
一定の支持を集めています。
特に大阪地方で顕著なようです。
校長先生を公募で民間から採用したら、
教育の質が高まるといった調査研究は、
私は目にしたことがありません。
中には優秀な民間人校長もいるでしょうが、
一般化して「民間人校長=善」とは言えず、
失敗した事例もたくさんあるようです。
民間出身の校長が、教員出身の校長より、
平均して高いパフォーマンスであるとは、
必ずしも言えないと思います。
民間人を校長にすべきだという意見は、
日本以外ではまったくないと思います。
教員というのは、専門性の高い職種です。
それを束ねる校長先生も難しい仕事です。
教育の専門性がない人を外から招いて、
校長をやってもらえば良いというのは、
どこから出てきた発想でしょうか?
校長先生に求められる条件というのは、
教育の専門性とマネジメント能力です。
どちらも必要だと私は思います。
教員のマネジメントの能力を伸ばしたり、
経営能力のある人に教育学の知識をつけ、
二つの能力を兼ね備える人材を育てる、
というのが目指すべき方向性です。
校長先生になる人のための学校経営学とか、
教員に経営感覚を身に着けさせる研修とか、
そういう分野を強化したらよいでしょう。
スコットランドでは「校長資格」がないと
校長先生にはなれない仕組みだそうです。
研修を受けて資格の認定を受けるそうです。
教師が自治運営する教員の専門職団体が、
校長資格の基準や倫理綱領を定めており、
専門家の自治を重視するシステムです。
校長資格は修士課程を修了しても認定され、
大学院レベルの高度な教育を求められます。
良いシステムだと私は思います。
日本だと退職直前の教員の上がりポストが、
校長先生だったりします。それは問題です。
教えるのが上手くても学校経営が下手な人は、
校長先生にならなくていいと思います。
ずっと教師としてがんばってもらった方が、
本人と子どものためだと思います。
他方、年齢にこだわらず学校経営のプロに、
校長先生を任せるといった形式にシフトし、
学校経営という専門職を確立すべきです。
もし校長先生を広く公募するのであれば、
教育と経営の両方わかる人材を採用する、
という公募がより望ましいと思います。
単に民間人ならいいというのは変です。