浅野秀弥の未来創案
【衆院選を振り返る】
小選挙区の弊害大きく
今回の選挙は自民と社民が改選比横ばい。立憲民主だけが大躍進し、他は与党の公明、中間の希望と維新、野党の共産とすべて議席を減らした。定数が 10減っているから、増減なしは実質勝利で、無所属当選者の大半が民進党出身で、その数22人を占めることを考えると、同党所属議員がそのまま選挙に突入 した時より相当多い議席を得たといえる。
それにしても自民党は得票率で35%しかないのに、議席数は61%を得ている。これが小選挙区制の弊害で、特に落選候補の比例復活は止めてほし い。選挙は1票を投じ期待する政治家を応援する面と、逆に1票を入れないで落選させたいケースがある。小選挙区で2人が復活当選し計3人が現職議員でひし めいている地域すらあった。比例復活を止め、その分を中選挙区として戻し、より良い人材を輩出すべきだ。
共産党は積極的に立憲民主との競合を避けた分、議席を減らしたが以前と比べると随分柔軟な集団になった。しかし、党名からは北朝鮮や中国の独裁的 イメージがつきまとう。私は何人かの同党議員や関係者と話しをしたが、リベラルさを感じた。ただし過去のトップも現在の志位委員長も在任期間が長過ぎる。 党員だけでなく広く支持される党のあり方を再検討してほしい。
問題は維新だ。選挙後、会代表の松井知事に対する不平不満が一挙に噴き出し、それを党の顔であった橋下前市長が外野から口汚くののしり、当事者の 代議士も平然と反論し離党。一時の「橋下の号令一過」体制とはほど遠い。橋下氏に比べカリスマ性に欠ける松井体制下で組織を純化するために、国政政党・維 新の党時代の不平不満分子メンバーをすべて切ったのに、早くも大阪の身内からもダメ出しされるようではもう組織的に長くはない。結局は橋下氏の個人人気に 頼っただけの烏合(うごう)の衆だったのだろう。
衆院の立憲民主、希望、無所属の会、参議院民進党と4分割された旧民主党系議員の今後の離合集散は、よく分からない。いえるのは、議員は自分のバッジがすべてで、会派や党は単なる手段に過ぎないという事だけだ。