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大阪のコロナ療養者から食事の苦情続出「国は一食1500円を支給も、安っぽいカツカレーやパンばかり」
2022/02/19 09:00AERA dot.
大阪のコロナ療養者から食事の苦情続出「国は一食1500円を支給も、安っぽいカツカレーやパンばかり」
大阪の療養ホテルで出された朝食
(AERA dot.)
「食事が貧相過ぎて言葉が出ません」
こう訴えるのは、2月に新型コロナウイルスに感染し、大阪市内のホテルで1週間、宿泊療養した50歳代の男性、Aさんだ。貧相すぎると訴えるのは、ホテルで出される朝昼晩の食事の中身だ。
大阪府は2月17日に1日あたりの死者数54人とこれまで2番目の多さを記録。ちなみに東京都の死者数は同じ日で24人で、大阪府の数字がいかに、突出しているかよくわかる。医療体制がひっ迫している大阪府では、宿泊療養者から食事などの苦情が続出している。
Aさんによれば、宿泊療養の1日のスケジュールは、ホテル内のアナウンスで知らされるという。
毎朝6時と7時に2度、「朝食、検温、スマートフォンでハーシス(HER−SYS/厚生労働省の新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理システム)に入力してください」というアナウンスがホテル内で流れ、1日がはじまる。
そして療養者は自らエレベーターで1階に降りて朝食を取りに行く。朝9時にも再度、ハーシスに入力。昼11時半に昼食。午後4時には検温とまたハーシス入力で、午後6時に夕食となる。
「コロナに感染して療養のためにホテルにきているのに、ホテル内のアナウンスがすごい大音量でした。寝不足になり、身体にこたえた。何のための療養なのか」
Aさんはこう振り返る。さらに問題は食事の内容だ。Aさんは報道などで国が宿泊療養者のために1食あたり1500円相当を負担していることを知っていた。だが、はじめて療養所の朝食を見て驚いた。それ以降、入院中は食事をスマートフォンで毎日、撮影したという。
「朝食は毎日、同じメーカーのパンとジュースです。味はまったく代わり映えしないです。夕食だけは宿泊療養を開始するときに魚野菜系か肉系か、2つのメニューから選べます。最初に選ぶと途中から変更は不可。食事はアナウンスから2時間以内に取りに来いという制限がある。その際、エレベーターに宿泊療養者が集まるので、密になります」
弁当の時は、電子レンジで温めるのだが、いつも行列ができるという。
「かなり密集になりますね。弁当を電子レンジで温めると、熱で容器が曲ってしまう。コンビニ弁当でもこんなことにならない。よけいに体に悪いんじゃないか、大丈夫かと心配になりました」
Aさんが「大変な思いをした」と訴えるのは、昼食のメニューがカレーだった日だ。Aさんは「恐怖のカツカレー」と説明をつけて写真を送ってくれた。
「私はオミクロン株に感染したのだろうと思いますが、喉がとてつもなく痛く、高熱でした。そんなときにカツカレーが出され、一口食べると割れたガラスが喉に突き刺さるような感じでした。いやはや、殺す気かと思った。カレーの大半を残しました。カツカレーは私が宿泊療養中、2度ありましたね。全体的にメニューは揚げ物が多く、私のような50歳代という年齢だと食べるのが辛かった」
宿泊療養中、Aさんの元に親しくしている大分県の宿泊療養者から弁当の写真がSNSで送信されてきた。
「大阪府と違い、まさに1500円の価値がある弁当だと思った。知人も美味しいとメッセージを送ってきました。大阪府と大分県、この差はなんなんやろと疑問を感じた」
東京都では宿泊療養者に週に1度、全国の駅弁が提供される。1月に宿泊療養したBさんは「深川めし」が提供されたと話す。
「あっさりした深川めしは本当にうまいと思いました」
大阪府は宿泊療養者に対し、症状の悪化にはオンライン診療を実施している。Aさんがホテル内にいた看護師と話したところ、「オンライン診療は話せない、歩けない、咳で眠れないというくらいひどくならないと、受けられないと言っていた。コロナに感染して発熱、咳などの症状があって不安というレベルでは相手にしてもらえない。
オンライン診療を頼りにしてはいけないなとその時、感じました。また、看護師やスタッフに質問しようとするとパーテーションがあるにも関わらず、『後ろ向いて、正面を見ないで話してください』ときつく言われた。宿泊療養は看病が必要な人は無理で基本的に自助なのに、質問すらするなと言わんばかりの対応には、ムっとしました」
大阪市では1月末からハーシスの入力遅れで、宿泊療養を希望する人にも影響があったという。大阪市内在住のCさんは2月初旬に発症した。
「子供がいるので宿泊療養をしたい」と大阪府の窓口に電話をしたが、断られたという。
◆大阪府の危機管理室を直撃!
「保健所からハーシス入力されていないので、行政的には新型コロナウイルス感染者と確認できないので、要望には応えられないといわれました。私の場合は、発症直後に発熱、喉の痛みなどの症状が出て最も辛かった。一番大変な時、ハーシスに登録されていないことで宙ぶらりんに置かれ、コロナ陽性とあわせて二重のショックでした」(Cさん)
大阪府危機管理室災害対策課を取材すると、こう回答した。
「大阪府は1食あたり900円、3食2700円という予算です。大阪府がホテルと契約し、その金額の中に食事代が含まれている。国は1食1500円相当を負担しているということですが、大阪府の場合、経済的な問題から兵庫県や京都府とも話をして、この金額としました。3食ともホテルが業者を選定し、契約しています。食事がまずい、貧相だという声は宿泊療養者から直接、寄せられたこともあります。現物の写真なども確認し、そうした苦情があった際にはホテルに改善を申し入れている。今後もそういう声があれば、対応したい」
大阪府で宿泊療養者の食事問題は、以前からSNSに投稿されるなど拡散されていた。大阪府の吉村洋文知事も記者会見で、食事への不満が続出していることを認識。こう説明していた。
「(1食1500円の予算だったものを)1日当たり約2700円というのを上限としました。夕食を選べるメニューに変えていきます。僕のような、例えば若い年代であったら、たくさん食べたいという人もいますし、高齢者の方でちょっとこれは重たいというのであれば、改善されたメニューを選べるようにしたい」
1食分の差額は600円になるが、問題はないのか。
「国から自治体へ支払う交付金は食事代だけの補助制度ではなく、各種コロナ支援策を包括したものです。基本的には1食1500円算定で地方へ交付され、使わなかった分は精算する仕組になっていますが、一括交付金なので、弁当代で浮かせたお金を他のコロナ関連事業に当て込むことは大阪以外でもやっていると思います。必ずしも違法とは言えないですが、栄養を十分摂っていただくべきコロナ患者の弁当代をあまりに削減するのは、趣旨としていかがか、と思います。写真の弁当は1食900円にも見えづらく、療養が必要な方への食事として相応しいとは言い難い。一番の問題は、こうした食事の問題が、大阪で宿泊療養施設が埋まらない要因の一つとなっていることです」(内閣府関係者)
前述のAさんは訴える。
「私の経験から食事代は朝は100〜200円、夕食は500円前後という印象。デリバリーサービスなどの食事も注文もできませんでした。国が1食1500円も出してくれるなら、もうちょっと工夫してほしい」
(AERAdot.編集部 今西憲之)
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