「鐘の鳴る丘」は 1947年(昭和22年)7月から1950年(昭和25年)12月まで NHKラジオで放送された連続ラジオドラマである。
初年は毎週土曜日と日曜日の午後5時45分から15分間の放送だったそうだが 「もっと回数を増やして欲しい」という聴取者の投書が殺到し 翌年からは月曜日から金曜日、週5回の放送になったようだ。戦後まもない時代、NHKラジオを聴くことが家庭での最大の娯楽だった時代なのである。
父親の郷里北陸の山村に疎開し、その地に定住した家で育った。
「鐘の鳴る丘」放送当時はまだ、小学生低学年だったこともあり 記憶は曖昧になっているが、父親が隣町のラジオ屋(電気店とは呼ばずラジオ屋と呼んでいた)で譲り受けてきたと思われる中古の真空管ラジオから流れていた行進曲風で元気の良い「鐘の鳴る丘」の主題歌「とんがり帽子」を 聴き覚えたような気がする。
多分 ラジオから流れてきた音楽で 聴き覚えた最初の曲ではないかと思っている。
ただ 当時、「鐘の鳴る丘」が 復員してきた主人公が 空襲で家も親も失った戦災孤児たちの安住の場を作ろうと決意し 信州の山里に建てた施設(とがった屋根の時計台に鐘を備えた建物)で共同生活を送る物語であることまで分って聴いていた分けではなかったと思う。
子供向けのラジオドラマであったと思われるが 描かれた孤児たちの明るく元気に前向きな姿に 多くの大人たちも共感し、高聴取率の放送になったようだ。
「鐘の鳴る丘」の作者が 劇作家、脚本家 菊田一夫であり 主題歌「とんがり帽子」が 作詞 菊田一夫、作曲 古関裕而と 知ったのは 随分後年になってからのことで 目から鱗になったものである。
作詞 菊田一夫、作曲 古関裕而、歌 川田正子&ゆりかご会 の 「とんがり帽子」 (YouTubeから共有)
「鐘の鳴る丘」の主題歌の正式名は 「とんがり帽子」だが ドラマの題名から 「鐘の鳴る丘」と呼ばれることが多くなっている。
当時は プロの児童劇団が無かったため 主役となる子役を決めるのに苦労したようだ。
東京都の演劇大会で優勝する等演劇活動が盛んだった練馬区立豊玉第二小学校に在籍する10人前後の児童が出演していたようだが 教師引率で NHK東京放送会館まで通い、生放送を行ったのだそうである。