たけじいの気まぐれブログ

記憶力減退爺さんの日記風備忘雑記録&フォト

横溝正史著 「人形佐七捕物帖(一)」・嘆きの遊女

2021年11月09日 21時04分28秒 | 読書記

図書館から借りていた、横溝正史著 「人形佐七捕物帳(一)」・嘆きの遊女 (嶋中文庫)を読み終えた。事前下調べも全く無しで、ふっと手を伸ばして借りてきてしまった書だが、もちろん、横溝正史の著作を読むのは初めてのこと、氏の文体に慣れるまで、やや戸惑ったが、読み進める内に、次第に引き込まれ、一気に読んでしまった。本書には 表題の「嘆きの遊女」の他、「羽子板娘」「謎坊主」「山雀(やまがら)供養」「宮芝居」「三本の矢」「幽霊山伏」「屠蘇機嫌女夫捕物(とそきげんめおととりもの)」「座頭の鈴」「花見の仮面」の連作短編10篇が収録されている。


読んでも読んでも、そのそばから忘れてしまう爺さん、読んだことの有る本を、うっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも、その都度、備忘録としてブログ・カテゴリー「読書記」に書き留め置くことにしている。


舞台は、江戸。人形が付く程に端正な美男、神田お玉が池の岡っ引き佐七が主人公の連作短編時代小説、その第1巻だ。度胸も良く、捕物にかけては三国一、恋女房でヤキモチ焼きのお粂(おくめ)、子分の巾着の辰(辰五郎)、うらなりの豆六と共に、奇怪な事件を解決していく、ユーモアあふれる捕物物語だ。なんでも、「銭形平次捕物帳」「半七捕物帳」と並んで、三大捕物帳の一つとされているのだそうだ。

「羽子板娘」
 主な登場人物、お仙(佐七の母親)、お源、お蝶、お組、お園、
   吉兵衛(岡っ引き・佐七の親代わり)、お千代、山の井数馬

 まだ独身の佐七が、初めて事件を解決、手柄を立て、人形佐七の名を売りだした、
   佐七デビューの物語。

「謎坊主」
 主な登場人物、春雪坊、花房千紫、お千代、佐兵衛、神埼甚五郎(与力)
 佐七は、まだ独身、子分もいない頃の捕物物語。

「嘆きの遊女」(表題作)
   主な登場人物、お粂、留吉、熊谷武兵衛、熊谷新之助、
   磯貝九郎左衛門(仕置きされたお粂の父親)

   子分の腰巾着の辰と佐七が飛鳥山の花見中に、目の前で殺人事件が発生、
   現場に居合わせたお粂に一目惚れしてしまう。 お粂は、元吉原玉屋の花魁東雲太夫で
   囲い者だったが、事件解決後、結婚。お粂は、1歳歳上のやきもち焼きの女房となっていく。


「山雀供養(やまがらくよう)」
   主な登場人物、神埼甚五郎(南町奉行与力)、山雀のお万、お美乃、お君、近江喬四郎、数江、
   お美智、斑鳩三平、


「宮芝居」
   主な登場人物、宮川左近、金子雪之丞、片岡三右衛門、お藤、

「三本の矢」
   主な登場人物、柳川主膳、深雪、白須賀八郎左衛門、大場弥五郎、久米源之丞、兵藤静馬、
   お蓮(深雪の母親)


「幽霊山伏」
   主な登場人物、お篠、緒方春浦、お美乃、浜路、宮園左内、宮園新三郎、

「屠蘇機嫌女夫捕物」
   主な登場人物、お粂、沢井玄徳、玄骨、お亀、弥七、初瀬九十郎、お夏(お筆)、
   鳥越の茂平次(岡っ引き、海坊主の茂平次・へのへの茂平次)、


「座頭の鈴」
   主な登場人物、伊丹屋藤兵衛、与吉、お米(藤兵衛の妾)、駒代、吉蔵、林家三治、

「花見の仮面」
   主な登場人物、越後屋治右衛門、滝野川の忠太(岡っ引き)、お藤、お玉、弥吉、
   芝園梅渓、山形屋加兵衛、


読めない書けない難漢字 No.40

2021年11月09日 18時15分41秒 | つぶやき・うんちく・小ネタ・暇つぶし・脳トレ

普段、会話や文章で、あるいはテレビやラジオ等で、ごく普通に使われている言葉で、誰でも知っている言葉の中にも、いざ、咄嗟に漢字で書けと言われると、「???」となってしまう言葉が結構有るものだ。
もちろん、漢字検定何級、漢字クイズ王なる人達にとっては、御茶の子さいさいなのかも知れないが、一度や二度、聞いても、教えてもらっても直ぐそのそばから忘れてしまう類の爺さんは、たまたまそんな漢字に出会うと、「へー!、そうなんだ・・」、その都度、目から鱗になってしまう。
今は、有難い世の中、漢字不勉強で語彙力の無い爺さんでも、PCやスマホの漢字変換ソフトのおかげで、ブログ等には、読めない、書けない難漢字でも、平気で、知ったかぶりして書ける時代だが、「じゃ、実際、自分で読んでみろ、書いてみろ」と、問題に出されたら、降参してしまうこと多しだ。

改まった会合や儀式等での挨拶で、冒頭「まことにせんえつでは、ございますが・・・」等いう言葉がよく使われるが、「せんえつ」・・・、これまで漢字で書いた記憶もなく、とっさに漢字で書いてみろ!と 言われたら、アウトだ。今更になって、国語辞典、漢和辞典で、調べてみた。

(ネットから拝借イラスト)











(漢字)

僭越

(意味)

身分や権限を越えて、差し出がましいことをすること、またはその様。


拡大してみると

僭越

「僭」は 「権威等を借りる」、「奢る」等の意。

にんべんに 「替」・・ではなかった。

 


「かわいいもの、うれしいもの」・まんがゼミナール「枕草子」 その27

2021年11月09日 15時52分34秒 | 読書記

足腰大丈夫な内に出来る限り、不要雑物処分・身辺片付け整理をしよう等と思い込んでからすでに久しいが、正直なかなか進んでいない。それでもここ2~3年には、押し入れや天袋、物置、書棚等に詰まっていた古い書籍類等をかなり大胆に処分してきた。ただ、中には「これ、面白そう・・」等と目が止まり、残してしまった書籍もまだまだ結構有る。その中に、漫画家赤塚不二夫著、元東京学芸大学附属高等学校教諭石井秀夫指導の古典入門まんがゼミナール「枕草子」(学研)が有る。多分、長男か次男かが、受験勉強中に使っていた「枕草子」の解説本・参考書の一つのようだが、錆びついた老脳でもなんとか読めそうな、まんがで描いたくだけた内容、その内いつか目を通してみよう等と仕舞い込んでいたものだ。ながびく新型コロナ禍、不要不急の外出自粛中、ふっと思い出して、やおら引っ張りだしてみた。当然のこと、本格的な「枕草子」解説本、参考書とは異なり、限られたサワリの部分に絞ったものであるが、学生時代に多かれ少なかれ齧っていたはずの日本の代表的な古典、清少納言の「枕草子」も、ほとんど覚えていないし、「古典」に疎く、苦手な人間でも、十分楽しめそうで、御の字の書である。


「かわいいもの、うれしいもの」・まんがゼミナール「枕草子」 その27

第276段 「うれしきもの」
十七の「うれしきもの」が、語られている段。内容は多様であるが、清少納言の勝ち気な性格が、窺われる。

「うれしいもの」
「まだ読んだことのなかった物語の一の巻を読んで、とても続きを読みたいと思っていて、その続きを読むことが出来た時」
「人の破り捨てた手紙をつなぎ合わせ、ぴったり合った時」
「とても悪い夢を見て、怖くて心配でたまらない時に、夢判断してもろて、安心出来た時、とてもうれしい」
「身分の高いお方の前に女房達大勢はべり、世間話をされる時に、ワテにぴったり目を合わせられた時」
「愛する人が、高貴なお方に「あれはなかなかしっかりした人物」なんて褒めて言われた時」
「パーティーの支度に、着物の艶出しをさせて、気になっていた仕上がりが、きれいに上がってきた時」
「長いことひどく患っていたのが、すっきり治った時。それが、愛する人の全快どしたら、自分の場合より、いっそうれしおます」
「えらい高慢ちきで、憎たらしい人が、不幸な目に遭うのも、うれしいわあ。こないな思いは、仏様のバチが当たるかもしれへんけど」
「メイド・イン・陸奥の上質紙が手に入った時。普通の紙でも、真っ白できれいやったらうれしい。世間が面白なくて、もうこの世に住みとうなくなった時でも、立派な筆、白い色紙、陸奥紙等、手に入ると、もうすっかり気分は良うなり、やっぱりこのまましばらく生きていようと思うでおます」


原文だよーん

うれしきもの。まだ見ぬ物語の一を見て、いみじうゆかしとのみ思ふが残り、見出でたる。さて、心劣りするやうもありかし。(略)、物合せ(ものあわせ)、なにくれと挑むことに勝ちたる、いかでかうれしからざらむ。また、我はなど思ひてしたり顔なる人はかり得たる。女どちよりも男はまさりてうれし。これが答(たふ)は必ずせむと思ふらむと常に心づかひせらるるもをかしきに、いとつれなく、何とも思ひたらぬさまにてたゆめ過ぐすも、またをかし。


(注釈)

うれしいもの。まだ読んでいない物語の第一巻を読んで、その続きを読みたいとしきりに思っている物語の続きの巻を見つけた時。それでいて、実際は、幻滅を感じることも有るものだよ。(略)、物合わせとか、何やかやと争う勝負事に勝った時は、どうしてうれしくないと言えるだろうか。実にうれしい。また、我こそは等と思って得意な様子をしている人を、知的な遊戯等で騙した時(勝った時)、その場合、女同士よりも、相手が男の場合だったら、いっそううれしい。この仕返しは、必ずしようと、相手が思っているだろうと始終気づかいされるのも面白いのに、相手が全く平気で、何とも思っていない様子でこちらを油断させて時を過ごすことも、また面白い。