足腰大丈夫な内に、出来る限り不要雑物整理をしようと決心してから久しいが、正直あまり捗っていない。書棚や天袋、押入れ等に詰め込まれていた古い書籍や辞書、百科事典等の類も、ここ数年間で大胆に整理処分してきたつもりだが、中には、「これ、面白そう?」等と目に止まり、残してしまったものも結構有る。その中のひとつに、多分、長男か次男かが、学生時代に使っていたものに違いない、小町谷照彦著 文英堂の「小倉百人一首」(解説本・参考書)が有る。パラパラとページを捲ってみたところ、なかなか詳しく、分かりやすく、決して、「今更 向学心?」なーんてものではなく、子供の頃、作者や歌意も分からないまま、正月になると必ず家族でやっていた「百人一首かるた取り」を思い出して懐かしくなってしまったからである。
「小倉百人一首」は、奈良時代から鎌倉時代初期までの百人の歌人の歌を、藤原定家の美意識により選び抜かれた秀歌であるが、時代が変わっても、日本人の心情が呼び起こされるような気がしてくる。
ブログネタに?、頭の体操に?、いいかも知れない等と思い込んでしまい、昨年、一昨年、「春」「夏」「秋」「冬」、季節を詠んだ歌を取り上げて、ブログに書き留めたが、今回は、最も数の多い、「恋」を詠んだ歌を取り上げて、順不同、書き留めてみることにした。
(ネットから拝借画像)
百人一首で「恋」を詠んだ歌 その6
君がため 惜しからざりし 命さへ
長くもがなと 思ひけるかな
出典
後拾遺集(巻十二)
歌番号
50
作者
藤原義孝
歌意
今まで、あなたに逢うためには、
惜しいとは思わなかった私の命までも、
逢うことが出来た今は、長生きしたいなあと
つくづく思うようになりましたよ
恋する女性と深い関係になる前と、
なってから後の気持ちの変化を詠んだもので、
詠まれた相手の女性は感動したに違いない歌だ。
注釈
「君がため」・「あなたに逢うため(深い関係になるため)」の意。
「長くもがな」・「もがな」は、「してほしいな」の意。
藤原義孝(ふじわらのよしたか)
謙徳公伊尹(けんとくこうこれただ)の三男。
藤原佐理、小野道風と共に書道に優れた三蹟の一人藤原行成(ふじわらゆきなり)の父。
痘瘡のため、21歳で没した薄命の貴公子。
参照・引用
小町谷照彦著「小倉百人一首」(文英堂)