図書館から借りて読み掛けになっていた 長編時代小説、平岩弓枝著 御宿かわせみシリーズ第20弾目の作品 「お吉の茶碗」を 読み終えた。
本書には 表題の「お吉に茶碗」の他、「花嫁の仇討」、「池の端七軒町」、「汐浜の殺人」、「春桃院門前」、「さかい屋万助の犬」、「怪盗みずたがらし」、「夢殺人」の 連作短編8篇が収録されている。
読んでも読んでも そのそばから忘れてしまう爺さん、読んだ本とは気が付かず、また図書館から借りてきてしまうような失態を繰り返さないためにも 備忘録としてブログに書き留め置くことにしている。
平岩弓枝著 御宿かわせみ(二十)「お吉の茶碗」
「花嫁の仇討」
大川端の小さな旅籠「かわせみ」の藤の間に滞在している母娘?、おさだ、おたか、金目当ての仲人医者鶴田典庵を頼り、辰巳屋利兵衛の倅久松との縁談を決めたが 実は・・・。東吾、源三郎が探索、なんとか姉おみつの仇討ちを?をしようとした妹と叔母だったとは。その結末は?
年上の女房るいが、「そうでございましょうとも。おたかさんは若くて初々しくて勇気があって・・、さぞかし どなたかさんは御心配で御心配で・・」、お吉がそっと逃げ出し、東吾は途方に暮れてあたりを見廻した。春の宵、どこかで犬が吠えている。
「お吉の茶碗」(表題の作品)
「かわせみ」の女中頭お吉が1箱1両で骨董品を買ってきた。その中の1個の古ぼけた茶碗が気に入り、るいから貰い受ける。米2俵が買える1両、るいは呆れるが 東吾がかばう。3日後 骨董屋の勝助が殺された。岡っ引きの長吉、東吾、源三郎が探索、盗品?、出所不明品?、池田屋が30両で買い取る商談成立、
お吉が1両で買ってきた1箱も奉行所に押収され、1000両の価値が有ったことを 吟味方与力、兄の神林通之進から聞かされた東吾。お吉お気に入りの古ぼけた茶碗だけが持ち主不明で お吉に返されたが 実は 何十両?、何百両?の茶碗だった。奉行所も 痛之進も、東吾も、お吉も知らないことだったが・・・、
お吉は今日も 満足そうに飯を食べている。
「池の端七軒町」
池の端七軒町の角にある煎餅屋の老婆お源は、勝気な孫娘おひさにこっぴどく叱られながら暮らしていた。下谷一帯に火災が起き、池の端にも飛び火した。右足不自由なお源を助けようと火の中に飛び込んだおひさ、二人の焼死体が焼け跡から出た。哀れな話である。
雨の音の中に「祖母ちゃん、祖母ちゃん」と呼んでいるおひさの声が聞こえて来るようで東吾は鼻の奥が熱くなった。
「汐浜の殺人」
「かわせみ」の宿泊者、行徳の塩屋多田総右衛門の内儀おつぎが長襦袢を誂えて誰かを待っていたが、やってきたのは総右衛門。出掛けた先でおつぎが水死し、総右衛門は辛うじて助かるが、東吾、源三郎等が真相究明に奔走する。
横浜から生糸商次徳屋の徳之助が「かわせみ」に到着した。おつぎとは血のつながらない姉弟だという。しばらくしてから成田の高砂屋万兵衛から多田総右衛門が殺されたことを知ったるいは息を呑んだ。嫉妬?と仇討?、徳之助は 西国を巡礼し、坊主になるつもりだと・・・。本当の下手人は?
横浜で腹ごしらえをし そのまま江戸へ引き返す男三人(東吾、源三郎、長助)の足は軽かった。
「春桃院門前」
春桃院の門前の小さな花屋の前に1挺の駕籠止まった。駕籠から降りた涵月亭のお順と花屋の娘おえいは、まるっきり瓜二つであることを 飯倉の岡っ引き仙五郎も、のびあがってのぞき見していた。涵月亭の板前の喜三郎とおえいが服毒心中?、実は、許嫁が帰ってくると知って企てた殺人。東吾が仙五郎に知恵を付け、真相をあばき出す。自首したお順も癆がいで、牢内でおびただしい血を吐き息を引き取る。
東吾は 大川の上の どんよりと重い雨雲をみつめていた。
「さかい屋万助の犬」
さかい屋万助の別宅万助御殿で飼われていた子牛のような大型犬は、実は狂犬病だったことが 最後に分かる物語。深川の大工孫八の娘おようが、万助御殿に手伝いに行ったまま、帰ってこない。なにか事件が起きたに違いないが・・・。東吾は、万助の孫の万太郎の病気の往診に行く成川清庵に同行、一気に事件を解明する。おようを殺めたのは?、薩摩藩士森川吉之進か?、その結末は?
因果応報、宗太郎「坊さんならいうでしょうね。仏罰が当たったと・・・」
「怪盗みずたがらし」
神林東吾は 軍艦操練所に復帰し、専ら幕府の軍艦朝陽丸に乗船、海岸巡視かたがた練習航海に狩り出され、数日は帰れないことが多くなっており、「かわせみ」は どことなくひっそりしている。東吾は 頭取勝麟太郎義邦から高く評価されており、奉行所吟味与力の兄通之進も嬉しげである。
「怪盗みずたがらし」が 毎夜のように江戸の町を脅かしていたが 頼りになる東吾は不在。鹿島屋が主人清兵衛が助かったがあとは残らず殺さた後、火を付けられ事件を 嘉助がるいに報告しているところに、東吾がひょこっと帰ってきて 早速、事件究明に奔走する。新たに雇われた女中だけが助かっている窃盗?、るいの一言で長助がピンとくる。西国大名の家臣浅生四郎兵衛を首領とする男2人、女8人の盗賊。源三郎の妻お千絵の実家江原屋が危ない・・・、
「そんなにお船がお気に召したんですか」「港港には さぞかしおきれいな方がいらっしゃって・・」「・・・・るいのような古女房のことなぞ、すっかり忘れておしまいになるかも・・」
すねる年上女房るい、夫婦二人だけのひっそりした夜が更けて・・
「夢殺人」
「かわせみ」の中で一番夢を見るのは女中頭のお吉、一日中、良く喋り、良く食べ、良く働く、極めて健康で元気いっぱい、心配はなさそうだが、東吾は 宗太郎から 毎夜 自分が自分の身体から抜け出して人殺しをするという夢を見るという娘、菓子屋三春屋の娘お銀の話を聞いた。三春屋の末娘おふじが殺される事件発生。三春屋の主人長兵衛?、倅春之助?、後妻お永?、東竜軒の堀江平太郎?・・・、東吾、源三郎、等が 真相究明に奔走、謎解きを開始、その結末は?
だが もう3日で大晦日という午後、源三郎が「かわせみ」にやってきた。「春之助は 死んだ者の菩提をとむらいたいと西国巡礼に出ました」・・・(中略)・・・江戸の年の瀬は 近年になく温かであった。
(つづく)
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