当地 今日も雨雲が低く垂れ込めて、暗ーく、鬱陶しい、典型的な梅雨模様。
キョウヨウ無し、キョウイク無し、
雨読の日と決め込み 読みかけになっていた、平岩弓枝著 長編時代小説「御宿かわせみシリーズ」第19弾目の作品、「かくれんぼ」(文藝春秋)に 手を伸ばし、読み終えた。
平岩弓枝著 御宿かわせみ19 「かくれんぼ」
本書には 表題の「かくれんぼ」の他、「マンドラゴラ奇聞」、「花世の冒険」、「残月」、「薬研堀の猫」、「江戸の節分」、「福の湯」、「一ツ目弁財天の殺人」の連作短編、全8篇が収録されている。
「マンドラゴラ奇聞」
麻生宗太郎がやってきて 「かわせみ」に宿泊した横浜屋弥助は 危険薬物に関わっている人物であることが分かり、畝源三郎、神林東吾等が 探索を開始する。蔵が焼け残った質屋村井屋が旗本と揉めている。旗本の用人今井啓左衛門は、村井屋の主人貞次郎、番頭、女房、子供、女中まで手当たり次第惨殺、血を吐いて死んだ。何故?、村井屋の蔵の茶箱から 大量の木の根が見つかった。
宗太郎「マンドラゴラです」、東吾「これがか」
「花世の冒険」
本所の麻生宗太郎、七重夫婦に二人目、小太郎が誕生。相手にされなくなった花世の気持ちに気が付いた東吾は 「かわせみ」に連れて来ることが多くなったが、家を抜け出し一人で 「かわせみ」までやってきてしまうようになる。子供誘拐事件が頻発、花世も道に迷って、行方不明となる。人さらいに閉じ込められた花世、脱出し、舟に隠れたが、それが永代の元締め文吾兵衛の舟で、以後 文吾兵門を「髭もじゃもじゃ」と呼ぶようになり、すっかり親分気分になる。花世の情報で 人さらい一味4人は捕縛され、島流しとなるという物語だ。
「とうたま(東吾様)、花世がまいりまちた」、今日も、颯爽と小さな女親分が子分を従えて「かわせみ」の暖簾をくぐって入って来た。
「残月」
「かわせみ」では、畝源三郎、長助 両人に頼みこまれ 島帰りの女おきたを 宿泊させる。20年前、先代の畝同心と岡っ引きになったばかりの長助が関わった木綿問屋相模屋隠居五郎三殺人事件の下手人だったが、実は・・・。探索していく、東吾、長吉、源三郎、当時の女中およねは?、近江屋のおうの(24歳)は?、頭に傷が2つ有った・・・、真相が明らかに・・・。
「島送りするなら 私を・・・」、舟は、ゆっくりと沖に待つ親船へ漕ぎ出していく。陽はhまだ上がらず、有明月が空に消え残っていた。
「かくれんぼ」(表題の作品)
麻生源右衛門と昵懇の旗本滝川大蔵の隠居所の茶会に招かれた神林香苗、麻生七重、るい、お千絵は 手伝いに。東吾も花世、源太郎の子供番で同行、広い庭でかくれんぼをする花世、源太郎の情景がなんとも微笑ましいが、隣家で起きた殺人事件に巻き込まれてしまう。速水市之丞?、おすず?、丸に十の字?、
花世「そんなら、いいもの、みせてあげまちゅ」、小さく折りたたんだ紙を引っ張り出す。
「薬研堀の猫(やげんぼりのねこ)」
「かわせみ」も鼠被害に悩まされている。そんな折 柳橋の芸者小てるが行方不明の三毛猫おたま探しを番屋に届けた。薬研堀の貸本屋の隠居、彦四郎、倅の源七、女房おたねを探索する 東吾、長吉、真相は?
色男は羨ましいですな、長助と源三郎が出ていき、東吾は、るいの膝から邪険に放り出された。「馬鹿、小てるってのは源さん好みの女なんだぞ、背が高くて気が強そうで・・あいつの女房(お千絵)にそっくりなんだから・・・」
みんなして からかい半分、るいの焼き餅を焼かせることを楽しんでいる風なのだ。
「江戸の節分(えどのせつぶん)」
旧暦の時代、節分は元旦の前にあり、江戸では12月13日に煤払いをする習慣が有った。それは大掃除というより「厄払い」の意味があった。そんな年の瀬 「かわせみ」の宿泊客となった浜松の料理茶屋浜名屋おかねという老女とおめぐみ観音の寿恵尼、流行っていた頼母子講、えびす講、ねずみ講にまつわる物語。
「災難ですよ。お金を欺しとられて死のうとまでおもった上、そんな悪人と間違えられたり・・・」「あの婆さん、るいのおかげで命拾いしたんだな」
「福の湯(ふくのゆ)」
「かわせみ」の宿泊客、木更津の米屋信濃屋の隠居与兵衛、おとり夫婦、追って訪ねてきた倅新助、独身50歳の福の湯の女主人のお寿。人生、内情、いろいろ。
「他人からは幸せそうな老いを迎えた御夫婦にも めくってみりゃ、血の流れそうな昔があるってことを悟ったようでして・・・」、嘉助が、そっと るいにささやき るいは、黙って東吾の袴の手入れを始めた。おだやかな春の1日、だが 明日の天気は誰にもわからない。
「一ツ目弁財天の殺人(ひとつめべんざいてんのさつじん)」
本所竪川の大川から1番目の橋の南側に有る弁財天で本所林町の名主岡本彦右衛門、お桑の一人娘おみちが殺された。「許せねえな」、東吾、長吉は 下手人探索を開始、連続放火事件との関連は?、鍼師弥三郎?、鬼甚こと岡っ引きの甚三、
「悪い奴・・・」、るいが唇を噛み・・・、東吾「俺は男の愛想がよすぎるのは信用しないんだ」、るい「うちの旦那様は お喋りで愛想のよすぎる女にとり巻かれて御機嫌なんですもの」、東吾は 大きなくしゃみをした。
(つぐく)
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