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藤原緋沙子著 「雁の宿」

2024年04月26日 16時54分18秒 | 読書記

図書館から借りていた、藤原緋沙子著 「雁(かり)の宿」(廣済堂文庫)を、読み終えた。数年前まで、読書の習慣などまるで無かった爺さん、作家藤原緋沙子についても、その作品についても、ほとんそ知らず分からずだったが、最近になって、相互フォロワー登録している方のブログで知り、読んでみたい気分になり、今回初めて手を伸ばした書だ。
読み進める内に、本書は、著者の長編時代小説、「隅田川御用帳(すみだがわごようちょう)シリーズ」の第1作目であること、現在、18巻まで発刊されていることも分かった。
なんでも、2002年、著者の小説家デビューの作品でもあるようだ。
「雁の宿」を読んだ限りではあるが、なんとなく、以前読み終えた、平岩弓枝著、「御宿かわせみシリーズ」前半の、神林東吾、るい、畝源三郎の活躍、展開、雰囲気にも似たところ有りで、引き込まれてしまった。引き続き、第2作目以降も読んで見たい気になっているところだ。


読んでも読んでも、そのそばから忘れてしまう老脳。
読んだことの有る本を、うっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも、
その都度、備忘録として、ブログ・カテゴリー「読書記」に、書き留め置くことにしている。


隅田川御用帳シリーズ(一)
「雁の宿」

「隅田川御用帳シリーズ」は、江戸時代、第十一代将軍徳川家斉の時代、松平定信が隠居後、楽翁と呼ばれ、尚も幕政に影響力を残していた時代を背景とした長編時代小説のようだ。
主人公は、「塙(はなわ)十四郎」。築山藩定府勘定組頭の息子だったが、藩が取り潰しになったことから浪人となり、長屋暮らしで生計を立てるのに苦労していたが、ある日、浪人数人に襲撃された元幕閣の大物(実は、楽翁だったが)を助けたことがきっかけで、深川に有る、縁切り寺「慶光寺」の門前の御用宿「橘屋」に雇われることになり、「橘屋」の女将・お登勢藤七、「慶光寺」の寺役人でかって道場仲間だった近藤金吾、北町奉行所与力松波孫一郎等と共に、さまざまな悩みや問題を抱えて駆けこんでくる哀しい女たちを救い守るため、彼女たちにまつわる事件を解決していくという物語である。連作短編構成になっており、読み進め易い気がする。

第一話 裁きの宿
▢登場人物
おたえ・大黒屋儀兵衛、おちか、伝兵衛、おくみ、向井作左衛門、清吉、捨蔵、万寿院(慶光寺の主、禅尼、十代将軍徳川家治の側室お万の方、「橘屋」の女将お登勢は、元お万の方に仕えた者の娘)
▢あらまし
夫の暴力に苛まれて離縁を望むおたえ、おたえを大黒屋儀兵衛に売った父母伝兵衛・おくみの深い事情とは?、儀兵衛の裏の顔とは?、楽翁から呼び出され初対面した十四郎、恐れず解決に当たれ!と、指図されるが・・・。

第二話 鬼の棲家
▢登場人物
お久、おかよ、与兵衛(大工)、波川虎之進(一千石旗本)・兼世、富蔵、熊一、彦三、八兵衛(裏店大家)、
▢あらまし
慶光寺での修行を終え、下げ渡しとなったお久が、三ツ屋から娘おかよに会うため押上村の実家に帰ったが、戻って来ず、お久、おかよ共、行方不明となった。藤七が探索、離縁したはずの大工の棟梁与兵衛は?、与兵衛に関わりの有る旗本波川虎之進の妻女兼世とは?、十四郎が尾行。押し込み事件頻発と与兵衛の関わりは?、十四郎、金吾、北町奉行所が、連携して、与兵衛、おかよ救出と、押し込み一網打尽にする日がきた。


第三話 蝉しぐれ
▢登場人物
お夏、お千代、おあき、清七、末広屋松五郎、佐太郎、柳庵、栗田徳之進(寺社奉行松平周防守家臣、徒目付)、柴田九郎左衛門(御納戸頭)、鬼頭数馬、春月尼(万寿院に使える尼、槍の名手)
▢あらまし

慶光寺の寺役人近藤金吾が、寺に押し入った、殺人剣トンボと遣う賊に斬られ重傷を追い、橘屋で看護される。慶光寺で修行中の、つね、おその、おみの、お夏の誰かを狙った犯行に違いなく、探索開始、元末広屋に奉公してお夏の乳母のような存在だったおあきから、「あれもこれも罠にはまったような気がする」から、末広屋松五郎の裏の顔、周辺を洗い出ししていると、互いに慕い合っていて、お夏を庇って島送りになっていた清吉が島抜けしてきて・・・
  「そうか・・・・それならば、きっと二人も浮かばれる」、
  十四郎は瞑目して手を合わせた。俄かに寺の木々の間から、蝉しぐれが立った。
  それはまるで、葬列を送る涙声のようだと思った。


第四話 不義の花始末
▢登場人物 
土屋伝八郎(田代藩定府お側衆)・綾乃・新一郎、
秋元弦之丞(田代藩江戸勘定方出納掛)、藤堂内蔵助(田代藩江戸家老)、佐々木勘兵衛(田代藩留守居役)
おのぶ、弥助(丸子屋手代)、おたか(橘屋仲居頭)
▢あらまし、
不義密通の疑いを掛けられ命を絶とうとした綾乃、田代藩内の不正横領の真相は?、不義密通をでっち上げ、伝八郎が果たし合いせざるを得ない状況に追い込んだのはいったい誰?
十四郎、金吾、お登勢が、事件の真相解明に乗り出す。
十四郎が金吾に言う。「お登勢殿はいったい、幾つなんだ」、「おぬし、そんな事も知らぬのか。確か二十五になった筈だ」・・・、二人の会話はそこで切れた。
  「おいそこのお二人さん、あの方とか、そのお方とか言わないで、
   俺にも分かるような話をしろ・・・」

  「どうも、申し訳ありませんでした」、
  お登勢はそう言うと、白い細い手を口に当てて、くすりと笑った。
和気藹々のこの3人、これから先、いったいどうなっていくのだろうか。

(つづく)


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