たけじいの気まぐれブログ

記憶力減退爺さんの日記風備忘雑記録&フォト

「センチメンタル・オータム」(再)

2021年10月22日 11時35分44秒 | 詩・エッセイ

4年前、2017年12月22日、に書き込んでいた記事を、コピペ、リメイク(再編集)


「センチメンタル・オータム」(再)

記憶から完全に喪失していた物が、最近、不要雑物身辺整理中に出てきた。若かりし頃、若気の至りで、書きなぐっていたと思われる詩の類である。不揃いの便箋やレポート用紙等に、バラバラと走り書きしたような代物で、色褪せてカビ臭い茶封筒に詰まっていた。そのまま、ゴミ箱行きにすれば良さそうな物だが、数十年ぶりに目にして、タイムカプセルを開けるが如く、ある種、感動さえ覚えてしまい、全てを捨て去る前に、「青春の思い出の欠片」として ブログに書き留め置こう等と考えてしまった。今の爺さんには、気恥ずかしく、冷や汗が出るような、ぞっとするような、拙劣な詩の類ばかりだが、恥じも外聞もなく、そのまんま・・・・。

その中に、「センチメンタル・オータム」と題した詩(もどき)が有る。「昭和43年11月6日」の日付が記されており、今から53年も前、まだ独身だった頃の秋の夕暮れ時、もしかしたら、子供の頃、故郷北陸の山村で見ていた、夕焼けに染まった紅葉の山々や日本海に沈む太陽等の情景を想いながら、感傷と妄想で書いたのかも知れない。50数年後に、他人様に公開される等とは、当時、想像も出来なかった詩の類、こんな物をよくもまあ、これまで仕舞い込んでいたものよ、我ながらあきれてしまっている。

「センチメンタル・オータム」
(君はもういない)

秋深く 我が感傷はやまず
真っ赤に染まった夕暮れの舗道を
一人あてもなく さまよう
知らぬ街のスズラン燈の灯影に
今はもういない君が 微笑む
さようなら
秘かに 瞳を潤ませて
ちょっぴり震えてうつむいた
君の後姿の 白いうなじが
たまらなくいじらしかった あの宵も
今はもう淡い想い出
さようなら
恋しい君は もういない

秋深く 我が夢は去りゆけり
さみしく暮れる公園の並木道に
一人胸ふたぎ 立ち止まる
うら悲し 枯葉のささやきに
今はもういない君が ささやく
さようなら
夕陽に赤く 頬染めて
しっとり甘く かぐわしき
君の肩に乱れた黒髪が
たまらなくいとおしかった あの夜も
今はもう遠い想い出
さようなら
美し君は もういない

秋深く 我が心に涙降る
天地黄昏れる 渚に歩き
一人感傷に 耐える
やるせなく寄せ返す波音に
今はもういない君が 呼ぶ声
さようなら
長い黒髪を潮風になびかせて
こっくり首を傾けた
君のやさしい後姿が
たまらなくいじらしかった あの夕暮れも
今はもう遠い想い出
さようなら
かわいい君はもういない

秋深く 我が恋は色あせり
ほの暗き 喫茶店の片隅に
一人うつろに 酔い沈む
キャンドルランプに浮かんでゆれる
今はもういない君が 面影
さようなら
紫煙の影に微笑んで
ぽっちりやさしく差しのべた
君の手のひらのぬくもりが
たからなくいとおしかった あの夜も
今はもう淡い想い出
さようなら
やさしい君はもういない

(昭和43年11月6日)

 


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