古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

薬指の標本      小川洋子

2018-01-12 09:11:04 | 小川洋子
新潮文庫。


標本室につとめるようになった21歳の女性。以前


つとめていたサイダーの工場で薬指の先を失って


しまった。標本室にはかすかに頬に火傷のある女


がやってきて、技術室の向こうに女性自体消えて


しまい戻ってくるところを女は知らない。浴場で裸


になり弟子丸という男と抱き合う仲の女は嫉妬を


感じるのか……。弟子丸から革靴をもらい、それ


は足にフィットし、足の一部となっていく。くつ


みがきの男にこのままでは足を失うことになる、と


予言めいたことをいわれる。老女が死んだり、なにか


哀しげなしんとした雰囲気がただようが、決して


暗い訳ではない。


そのストーリーを簡明に表現するのは難しく、ふしぎ



な世界の拡がりがあり……ボクもその世界にどっぷりと



浸かってしまった。


「六角形の部屋」……六角形の小部屋で独白するだけの


商売をしている親子と出会い、彼氏を憎むことにな


った女を描く。ぽつんと取り残されたように、六角形



の小部屋は旅だってしまう。女の背中の痛みが、奇妙に



この短編の薬味となっている。

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