古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

感傷的な午後の珈琲   小池真理子

2022-08-16 09:25:42 | 本の紹介

河出文庫    2017年

 

小池女史という人はすごくロマンティックな人だ。どんな

 

時でも人は小説を読んできた、本を欲した、言葉は人を

 

救ってきた、と書く。言葉の持つ力を信じているのだろう。

 

女友達が大学時代フライドポテトを作ってくれた、と思い

 

出す。思えば、ぼくもいつも学生時代から、友達に冷凍の

 

フライドポテトを揚げていた。揚げてあげたダチは今でも

 

そのことを覚えているだろうか。いや、小池さんのように

 

は覚えていないような気がする。

 

猫はいつも生きているときも死んだ後も、自分を愛して

 

くれた人をそっと守り続ける生きものなのだ、と語る。

 

飛びちゃんやムーヤ、ロック、ミミ、ぼくの人生におい

 

て大切だった猫たちはぼくをそっと守ってくれている

 

だろうか。うん、守ってくれている気がする。ああ、

 

やっぱり、小池さんはロマンティストだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ロンドンでフラット暮らし    岩野礼子

2022-08-15 20:46:54 | 本の紹介

中公文庫     1999年

 

前に読んだ本、パリっ子~を読むのに21日間を

 

費やしたのに、この本を読むのにかかったのは一日

 

だけだ。

 

読書を続けるコツは、難読書はさっさと切り上げて、

 

読んで楽しい本を発見し、次々と読んでいくことに

 

あるようだ。

 

この人はあまり自分を飾らないで、そのまま素直に

 

書いているのが、好感。文章も巧く、すらすら読め

 

ちゃう。でも、くだらなくなくて、文化とか、慣習

 

って問題や、日常のことが、てらいなく描かれていく。

 

フラットでシェアして暮らすのだが、90年代、フラッ

 

トでシェア暮らしって、ちょっといい感じだったんだろ

 

うね。いや、今でもいいだろうけど、ちと怖いよね。

 

外人とシェアするって、やろうとする人いないだろうね、

 

イマドキ。

 

そこに果敢に挑戦していくって若いんだね、歳食っ

 

ちゃうとダメだね、そういうの。

 

メンドクサイし、もうムリだね。そういうムチャをし

 

たくなるんだろうね、この人は。

 

写真を見ると、すごい地味な顔の人で、ああ、そうだ

 

ろうね、という感じだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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パリっ子の食卓 フランスの家庭料理のレシピノート 佐藤真

2022-08-14 05:35:40 | 本の紹介

河出文庫     1995年

 

ぼくのフランス料理のデビューは小学4年のとき、銀座の

 

パリの朝市というレストランでだった。魚から出汁をとった

 

スープが苦手だった。他はとても美味しかったと思うが、細

 

かいメニューまでは覚えていない。が、ハハが、パンに付ける

 

バターを追加できるのを知って、激怒していた、というのを

 

憶えている。なんで早くバターが追加できるって言ってくれ

 

ないのよ、って感じだ。いや、昔から、なんか突然、ブチギ

 

れんだよね、ハハ。そこのパリの朝市には二度行ったと思うが、

 

今はなくなった、ということらしい。30年くらい営業していた

 

のではないか。銀座で30年やっていこうと思ったら、並大抵で

 

はない。一流の店だったのだろう。その味はかすかに残像として

 

捉えられる。ぼくの貴重な食体験だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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沈黙博物館     小川洋子

2022-08-13 20:10:33 | 小川洋子

筑摩書房    2000年

 

ぼくの元にこの古ぼけた広島市立図書館から

 

ただで配布された本が届いたのは、かれこれ、

 

もう半年も前のことになる。ずっと、ツンドク

 

してトイレの棚に置かれていた。

 

この本を読了したのは、前に読了した本から二週間

 

以上たっている。活字がちょっと煩わしいと感じる

 

ようになってしまっていて、活字はぼくのそんな気持ちを

 

察してか、ずっと読まれるのを黙って待っていてくれた

 

ようだ。

 

遺品を回収する、そして、その展示を目的とする

 

博物館をつくる、という話だ。主人公は風来坊の

 

技師で、博物館づくりのプロらしい。少女と呼ばれ

 

お母さんと慕っているおばあさんの養女と目録を作

 

ったりする。殺人事件が起きたり、爆弾事件が起こったり

 

あまり、穏やかじゃあないことが語られていく。沈黙の

 

伝道師というひとも出てきて、沈黙する少年が描かれたり

 

する。

 

遺品を展示するのが、ここでは重要なテーマだが、ぼくらは

 

現実世界では誰も生きた証を大抵の人は残していかない。

 

ネット上に残存してしまうこともあるらしいが、ものを

 

残すことは一般人ではほとんどないのかもしれない。ふと、

 

なんで人は生きていくのだろうなあ、と思ったりしながら、

 

大抵、つつがない人生を生きていく。それが人生という

 

ものか。

 

死ぬことについて書かれていながら、痛切な生きる喜び

 

というものが描かれていた本書であった。

 

                  (鶴岡 卓哉)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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世界一周わたしの居場所はどこにある⁈  西井敏恭

2022-08-12 19:18:43 | 本の紹介

幻冬舎文庫    平成25年

 

著者が26歳のときだから、2001ころの

 

ことが描かれているらしい。

 

南米に行きたい、と言いつつ、東南アジアに降

 

り立ち、いろいろ国を巡りつつ、赤道を越えてい

 

く。

 

けっこう楽しく書いてあって、自信過剰というか

 

俺様タイプなので、読んでいても楽しい。

 

酷い目にも合うし、体験しつつ、二年半の旅を

 

終えるまでをおもしろおかしく描き出す。

 

読む本がなくて、困っていたのだが、よい本と出会えて

 

ラッキーだった。話それぞれにいつもオチがついていて

 

スマートだった。

 

                 (鶴岡卓哉)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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絶望名人 カフカの人生論   カフカ 頭木弘樹・編・訳 

2022-08-09 11:16:21 | 本の紹介

新潮文庫   2011年

 

カフカがこんなにも絶望していたなんて知らなかった。

 

どんどん落ち込みスパイラルに陥って、沼に沈んでいっ

 

てしまうカフカ。それをそっと見守る頭木氏。どんなに

 

ガンバっても、自分を評価できないなんて、なんて可哀

 

想な人なんだ。ぼくはどっちかっていうと、すぐ自分を

 

天才だ、と思っちゃう人なのね。なんか書いても、これ

 

は天才だね、と自分で自分を褒めちゃうね。日々の努力は

 

怠らないようにしているから、それくらい自分にいって

 

あげてもいいと思うのだ。ひきかえ、カフカ氏は自分を

 

卑下するあまり、本当に病気になって、喀血して、しんで

 

しまう。そのかわり、彼は永遠性を手にすることになる。

 

名声を得ても、きっと満足できないんだろうな、カフカ氏。

 

      (読了日 2022年5・24(火)21:30)

 

                  (鶴岡 卓哉)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ひとつ目女     椎名誠

2022-08-05 01:49:20 | 小説の紹介

文春文庫    2008年

 

久々のシーナSF作品との出会いだった。もちろん、

 

問題になってくるのはひとつ目女だ。

 

人工的にセックス目的でつくられたというひとつ目女。

 

その親となるラクダを探して欲しいという依頼から

 

はじまる冒険譚。それらは、じょじょにいろいろ明ら

 

かになっていくが、美しいとされるひとつ目女が、この

 

物語のキーとなっていくことは間違いない。

 

世界観としては、トーキョー、や、ヒビヤ公園など

 

実在の所在地をつかっている。これは、未来のトーキョーと

 

近縁の地を舞台にした物語らしいのだ。

 

ぼくの読書欲といったものが、減退傾向にあり、なんか

 

読みたくない、といった日も多かったが、しかとこれだけは

 

読まねば、と熟読してしまった。

 

シーナ・ワールドに読んでいる間は浸れるので、おもしろい

 

活字冒険の日々を送れたのであった。

 

         (読了日 2022年5・21(土)0:37)

                      鶴岡 卓哉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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マスタードをお取りねがえますか。   西川治

2022-08-03 22:48:30 | 本の紹介

河出書房     1988年

 

西川治氏の本は何冊か拝読しているが、この本が

 

ベストではないか。ウンチクと風景、経験のバラ

 

ンスが丁度いい感じだ。句読点の付け方も絶妙だ。

 

女の選び方にも言及している。ぼくは、一応にして

 

へっ、なに言ってやがる、っるせえ、という作家と

 

まあ、きいてやるか、という作家に分かれると思う

 

のだが、西川氏は年上、ききます、ききます、という

 

感じだ。

 

実践派らしく、実際に食に果敢に挑戦される方らしく、

 

そこいらへんは読んでいて、こぎみよい、ずっと、読

 

んでいられる。

 

ぼくは、今、ダイエットしているのだが、治氏もかなり

 

ハードな感じでやられていると読んで、発奮し、ぼくも

 

十キロ痩せたが、あと、十キロ痩せようと、と思い新たに

 

思った次第です、はい。

          (読了日  2022年 5・16(月)

                      21:55)

                    (鶴岡  卓哉)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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