映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

みんな一緒にバギーに乗って

2008年08月29日 | 本(その他)
みんな一緒にバギーに乗って (光文社文庫 か 46-1)
川端 裕人
光文社

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この本の主人公は、保育士。
大学を卒業したばかりの男性。
そういえば、学校の先生が主人公の話はたくさんありますが、今まで男性保育士の話は、あまりなかったですね。
そもそも、まだ実際少ないですし。
我が家の娘二人もかつては保育園にお世話になったので、保育園の話は大変身近です。
学園ものだと、生徒側の視点もだいぶ入るのですが、こればっかりは、子どもの目線はでてきません。
あくまでも、保育士として見た子どもの様子が生き生きと描かれています。
さて、男性保育士。
・・・この本では、ちょっと、周りから偏見で見られるというようなところがありました。男のくせに・・・とか、女っぽいんじゃないか・・・、とか。
私は特に感じないですが。
ジェンダーフリーの時代ですからね、男だ女だなんていっていられない。
子どもが好きかどうか、やりがいが感じられるかどうか、問題はそこだけなんじゃないかなあ。
作品中にもありますが、たとえば女性の保育士なら、お母さん役、お母さんの代わり、そういった気持ちで子どもと接するのは、まあ、納得できますよね。
では、男性保育士はお父さんかというと、そうではないのじゃないかと。
しいて言うなら、お兄さん。
そういう役割になるのではないかと言っています。
あたっているような気がしました。

さて、この本は、新米の保育士として悪戦苦闘する田村竜太君をはじめ、その他の保育士さんの話も含めた短篇の連作となっています。
今の子育て現場の抱える問題も含めながら、楽しく読めるストーリーです。
モンスター・ペアレントも登場します。
でも、どんな苦労も、子どもの笑顔でむくわれる・・・。
そういう点ではちょっとうらやましい職業なのでした。

満足度★★★