「ダークナイト」、つまりはバットマンのシリーズなんで、実は見ないつもりだったんです。
アメコミにさほど興味はないですし・・・。
でも、これ、割と評価は高いですね。
ヒース・レジャーも気になりますし・・・。
実は、男性が恋愛映画とかアニメを一人で見るのに気後れするように、オバサンもこのような映画に一人で入るのはちょっと・・・、というところはあります。
でもまあ、いまさら気にしにない。
そこがオバサンのおばさんたる所以。
好奇心に逆らわず、見ました!
それにしても、確かに、この作品は今までのアメコミの映画化の枠を超えている。
全体に、ダークなイメージ。
軽いノリはなし。
そういえば、あのバットマンですぐ思いだされるあの曲もなかったですね。
バットマンこと、ブルース・ウェインの住む町、ゴッサム・シティ。
今回は、悪のカリスマ、ジョーカーが登場。
まさに、「悪」を象徴する存在。
彼は金銭が目的ではなく、正義を実行しようとするバットマンと敵対することを目的としている。
強烈な悪意を持ってバットマンを揺さぶる。
バットマンが正体を明かさなければ毎日市民を殺す、と宣言。
人の心を揺さぶり、悪意を引き出すことに歓びを見出している。
白塗りの顔に赤く裂けた唇。
この強烈な存在。
どういういきさつでヒース・レジャーがこんな役を引き受けたものだか・・・。
しかし、彼のこの演技なくして、ここまでの映画の成功はなかったでしょう。
誠に鬼気迫るというか・・・。
普通、あのメイクでこの役をやったら、ただの、道化になってしまいます。
すごいものを遺して、逝ってしまいました。
私は以前から、ヒース・レジャーは「役」に添うタイプの役者だと思っていたんです。
黙っていれば、割と地味で目立たないタイプの青年。
その彼が、直接あのようなメイクを施してしまったら、もう人格丸変わりですよ・・・。
この先、渋いおじさまになった彼なども、ぜひ見たいところでしたが、残念です・・・。
もう一つの見所は、「光の騎士」と呼ばれる、正義を実行する、新任検事のデント。
しかし彼はジョーカーの策略により、恋人を失い、
また、顔の半面が醜く焼けただれてしまい、
怪人トゥー・フェイスとなって、復讐鬼に変身。
コインの裏と表。
顔の左右。
正義と悪の二面性を象徴するというわけですね。
・・でも、正直、ここのくだりが一番アメコミっぽくて、
彼の顔の特殊メイクもすごいですけれど、ちょっと興ざめ。
ここだけ、お子様向きになってしまったのが残念な気がするんです・・・。
これ、私が、バットマンの楽しみ方を間違えてるんでしょうね、たぶん・・・。
私はよくわかってないのですが、バットマンって、超人ではないのですね。
前作で修行を積んだのはわかっておりますが、
つまり、スーパーマンのように、不死身の体や超人的な能力を持っているわけではない。
スーツや車の装備で能力を高めたり補ったりしているだけ。
そんなところも、ちょっと、魅力です。
努力の人なんですねえ。
結局、彼ががんばればがんばるほど逆に悪を引き寄せているという、
皮肉な展開となっていますが、
映画の中に曰く、「夜明け前が最も暗い」。
負けるなバットマン。
二時間半たっぷり、間違いなく楽しめます!
2008年/アメリカ/152分
監督:クリストファー・ノーラン
出演:クリスチャン・ベール、ヒースレジャー、アーロン・エッカート、マギー・ギレンホール、マイケル・ケイン