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本人にとって明白でも、証明するのは至難の業
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これは、コメディタッチの法廷劇ですが、
昨今問題の「冤罪」がテーマでもあり、
単純に笑ってもいられない、
そんなことを感じさせます。
大学生のビルとスタンは車で気軽な旅行中。
アラバマ州のとある町のコンビニに食糧を買うために入りました。
ビルは持ちきれない缶詰をポケットに入れ、つい精算し忘れて出てしまった。
そりゃ、万引きだよ。
車を出してから気づく二人。
するとなんと、パトカーが追いかけてくるではありませんか。
銃を向け、手を上げろという警官。
警察署に連行された二人の容疑はなんと殺人犯。
二人が立ち寄ったコンビニの店員が、殺されたというのです。
青ざめる二人。
ビルのいとこ、ビニーが弁護士だというので、さっそく呼び寄せました。
ところが彼は、やっと6週間前に6度目の司法試験に合格したばかり。
法廷に出た経験もありません。
さて、このたよりないビニーは
どのようにして二人の無実を証明するのでしょうか・・・。
田舎町の法廷です。
都会から来た若者に、ことさら周囲の目は厳しい。
二人がコンビニを出るのを見たという証言まである。
有罪となれば死刑・・・。
このようなときに、いつも感じるのですが、
本人にとっては実に明白なことなのに、
これをきちんと証明するのは、なんと難しいのでしょう。
このドラマを始めから見ていた私たちも、
そんなバカな・・・と、思うのですが、
いくら「私はやっていない。何かの間違いだ。」と叫んだとしても、
疑惑を晴らすことはできないのです。
裁判はくれぐれも先入観なしに、
冷静に事実だけを積み上げて行って欲しいものです。
しかし、その事実を見極めるはずの科学も、時にはミスをする・・。
(というよりはその科学がまだ未熟というべきなのかな。)
このようなことを私たちは肝に銘じなければなりませんね。
ビニーは始め法廷の決まり自体を飲み込めず、
また、元来格式ばったことが嫌いなので、
法廷侮辱罪で留置されたりするのですが、
しだいに本領を発揮していきます。
力になったのは、彼と同行した婚約者のリサ。
この二人の馴れ初めをそもそも疑ってしまいますが、
彼女は度派手な美女なんですね。
しかも、なぜか車のことに非常に詳しい。
彼女が重要なヒントを示しますよ。
現実では、こんなにうまい具合に解決の糸口は出てこないでしょうし、
本当に、冤罪というのは難しい。
ところで、ミステリマニアからすると、
まず二人からは硝煙反応が出ないでしょうし、
今時コンビニなら監視カメラがあるはず。
二人が現金を奪った形跡もないでしょうし・・・。
使用したと思われる銃も見つかっていない。
まあ、いくらなんでも、有罪にするには証拠不足。
・・・だと思います!
でも、ユーモアにくるめながらも、大事なことを言っている。よい作品でした。
1992年/アメリカ/119分
監督:ジョナサン・リン
出演:ジョー・ペシ、ラルフ・マッチオ、マリサ・トメイ、ミッチェル・フィットフィールド