映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

サンシャイン・クリーニング

2009年07月27日 | 映画(さ行)
頑張っても頑張ってもダメなときに・・・

           * * * * * * * *

この作品は「リトル・ミス・サンシャイン」のスタッフが再結集し作ったもので、
だからやはり、家族の再生がテーマです。

ローズはハウスクリーニングの仕事で生活を立てているシングルマザー。
高校生の頃はチアリーダーとして、
皆にもてはやされる華やかな存在だったのに、
今では子どもを抱えて生活するのがやっと。
昔の恋人と不倫をしているさえない日々・・・。

その息子オスカーは変わり者で、小学校を退学させられる始末。

妹ノラは、気分にムラがあって、アルバイトをしてもすぐにクビ。
未だに実家の父と同居。

また、その父は一攫千金を夢みているけれど、いつも失敗。


なんともさえない家族なのですが・・・・・。
ローズは、オスカーの私立学校入学の資金のために、
儲けが大きいと聞いた事件現場の清掃の仕事を始めます。
さあ、この仕事はうまくいくのでしょうか・・・?


この姉妹が、どこか自信なさげに見えるのは、
母の死が彼女たちに影を落としているのだということがわかってきます。
まだ二人が無邪気な子どもの頃のこと。
これもなかなか切ない。

けれど、二人は次第に清掃のノウハウを身に付け、
ドシロウトからプロへと前進していきます。
清掃というのは実際、仕上がると気持ちがいいものです。
人の役に立って、お金にもなる。
こういう成果がはっきりと見える仕事って、時々うらやましくなるんです。
事務の仕事では、なかなかこういう風には行きません。

けれど頑張っても頑張ってもダメなこともある。
そんなときに、また立ち上がる勇気をくれるのは、やはり家族なのだなあ・・・。

そもそも、完璧な人生や家族なんてありっこありません。
もと花形のチアリーダーも、ふがいない自分に落ち込んでしまう。
清掃業という仕事。
結婚もしていなくて、不倫・・・。
そんなローズに、私たちはとても共感を覚えてしまいます。
彼女が不倫相手に別れを告げるシーン。
なかなか良いです。
相手の彼にもそこはかとなく愛情が感じられる・・・。
でも、流されず、自立に向けて懸命に意思を通そうとする。
けれど悲壮でも、怒りでもない、不思議と柔らかな表情なんですよ。
つい、涙を誘われてしまいました。

そしてラストがいいです。
希望が見えます。
そうですよ、いつまでも落ち込んでなんかいられない!
元気を分けてもらうような気にさせられる、おススメの作品です。

2009年/アメリカ/92分

監督:クリスティン・ジェフズ
出演:エイミー・アダムス、エミリー・ブラント、アラン・アーキン、ジェイソン・スペベック、クリフトン・コリンズ・Jr


映画「サンシャイン・クリーニング」予告