映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ノウイング

2009年07月15日 | 映画(な行)
映像は驚異的ですが・・・・・・・・

* * * * * * * *

えー、なんといえばよいのか・・・。
ニコラス・ケイジ出演作は、ここのところ2流どころ止まり、という気がします。
予告編は面白そうだけれど、
実際に見てみると、な~んだ・・・、という感じ。
この作品も、たぶんそうだろうとの予測で、
あまり気が進まなかったのですが、
スケジュール的にちょうどよくて、見たいものがほかになかったので・・・。
とは、あまりにも消極的かな?

まあ、そうダメダメというわけでもないんですよ。
マサチューセッツ工科大学、宇宙物理学者のジョン。
彼は息子ケイレブの小学校の記念式典で、
50年前のタイムカプセルが開かれるのを見ました。
その中の手紙の一つが、ケイレブの手に渡ったのですが、
そこにはびっしりと数字が書き並べられている。
一見無意味な数字の羅列に見えるのですが、
ジョンは見ているうちに、
年月日を表している数字部分があることに気がつきます。
その年月日をパソコンに打ち込んでみると、
なんとそれは大きなテロや事故が起きて、多くの犠牲者が出た日。
そして、犠牲者の人数、そのものの数字であることがわかってきます。
しかもその年月日というのは、それが書かれた50年前より以降のこと。
年月日は次第に現在に近づき、最後の方は、未来の日付になっている。

この予言の書は、誰が書いたものなのか。
どうして未来を知ることができたのか。
そして、最後の日付の後に、犠牲者数は書かれていないけれども、
それはなぜ???


ミステリアスな謎。
衝撃的で、迫力のある映像。
美しい宇宙船。
父子の心の絆。
う~ん、実際悪くないんですけどね。

地球の破滅というテーマが、今やありきたりなのでしょうか。
以前、「地球が静止する日」を見たときにもちょっと思ったのですが、
今や世界はかなり狭いんですよ。
自宅にいても、世界中の情報をリアルタイムで得ることができる、
というグローバルな時代。
今、世界の破滅というテーマを扱おうとする時に、
いくらアメリカ映画だからといって、
アメリカ、しかも単に個人というミクロ的な視点だけで話が進んでゆくことに、
どうもリアティが感じられないのですね。

ウイグル自治区で暴動が起これば全世界が反応する。
マイケル・ジャクソンが亡くなれば全世界が悲しむ。
地球温暖化だって、今や全世界の共通の課題。
こういう時代には、こういう時代の地球の破滅、人類の危機を
描いて欲しいものです。

だから、今のこの手の映画では、「すごいなあ」・・・とは思うのですが、
「怖いなあ」とは思えない。
それなので、「クローバーフィールド」のように、
情報の混乱を描きつつ、
個人の視点はあくまでも個人のビデオ記録として描き出した手法は、
成功なわけです。

今後の映画に期待したいところです。

2009年/アメリカ/122分
監督:アレックス・プロヤス
出演:ニコラス・ケイジ、ローズ・バーン、チャンドラー・カンタベリー、ララ・ロビンソン



『ノウイング』予告編<7.10(金)全国ロードショー>