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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「図書館の神様」 瀬尾まいこ

2009年08月09日 | 本(その他)
図書館の神様 (ちくま文庫 せ 11-1)
瀬尾まいこ
筑摩書房

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清(きよ)は、ある高校に講師として赴任してきました。
高校のころ、バレーボールに夢中で、
その先の未来を思い描いていたのですが、ある事件でそれが挫折。
夢破れて新たな目標ももてないまま・・・。
しかもここで割り当てられたのは、自分にはまったく興味がない文芸部の顧問。
さて、その文芸部はなんと部員が1人きり。
垣内という男子生徒。

ほかに誰もいない放課後の図書館で、静かな時が流れます。

垣内君は実はサッカー少年だったらしいのですが、
これもある事情で挫折したようなのです。
だからといって破れかぶれではなく、彼の心は真剣に文学に向いている。
彼は新たな目指す方向を見つけているようです。


二人きりといっても、決してべたべたの関係になるのでなく、
あくまでも先生と生徒。
さらりとして、けれどもいい意味でお互いに影響しあっている。
解説の山本幸久氏も行っていますが、
こんな二人の関係っていいなあ・・・と思うわけです。

双方、次第に傷ついた心が再生してゆく。
一歩前へ踏み出す勇気がわいてきます。
この清の弟君がまたいいキャラなんですよ。
こんな弟ならいて欲しいですね。


人と人とのかかわりは、時にはわずらわしく、
また、傷つくこともあるけれど、
そうでないこともある。
なんだかんだといっても、私たちは1人きりで生きてはいけないし、
より良く生きるためには、
人とより良いかかわりを作っていくことが必要なんですね。
だから出会いを恐れてはいけないし、
心を語る努力を忘れてはいけないのだなあ・・・と、改めて思います。

だがしかし、時にはどう頑張ってもうまく関われない相手がいたりして・・・。
私もまだまだ修行が足りない。
いくつになっても、こういう悩みはつきず、情けないです・・・。

満足度★★★★☆