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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ノーボーイズ,ノークライ

2009年08月28日 | 映画(な行)
家族や友との絆が生きる力になる

             * * * * * * * *

日韓二人の青年が心を通わせていくストーリー。
ヒョングは、日本で成功したホギョンおじさんの下で、
ボロなボートで韓国から密輸品と、キムチのツボを運ぶのが仕事。
裏社会の仕事です。
しかし、家族もいない彼は、いいお金にもなるし、
まあいいか、こんなもんか・・・と受け流す。

日本側でホギョンの下で働く亨(とおる)。
彼には守らなければならないものがある・・・。
それは惚けたおばあちゃん、身持ちの悪い妹、妹の三人の子供達。
・・・今すぐにでも、見捨てて逃げ出したいけれど、それができない。
この家族をささえるために、彼は汚い仕事でも何でもすると決めている。

二人は荷物の受け渡しをする時に会うくらいだったのですが、
あるとき、拉致された少女が日本に運ばれてきて・・・。
ついにはこの二人は、
少女と共にホギョン一派から逃亡し、少女の父親を探すことになってしまいます。


二人とも、根っこのところは常識人で、
こんなヤクザな仕事は好きでもなんでもないし、
良くないとわかってはいるのです。
でも、生きていくためには仕方ないと割り切っている。
そんな中で次第に共感を覚え、気持ちが通い合っていくんですね。
実際、亨の抱えている状況は相当に悲惨。
ちょっと、ギルバート・グレイプを思い出しました。
家族のために、この家を出て行けない、やりたいことをやれない。
そこにまた、韓国の二人まで背負い込んで・・・。
でも、皆が楽しそうに食事するシーンや、
全員一緒に逃亡の車のシーン、なんかいいですよね。
家族を大事にする気持ちは、どこの国も同じ。

ここではまた、ヒョングがいい味なんですよ。
彼はちょっとボーっとしているというか、
悪いことでも、バカみたいにまじめ。
妻夫木君だけではシャープになりすぎるところを、
ハ・ジョンウがそっと、カドを取ってくれている、
というような最良のコンビネーションを感じます。

「泣かない男なんていない。」
亨が男泣きするシーンも見所です。
どんなシーンで男泣きになるのか、ぜひ、見てくださいね。


それから、二人が町内のカラオケ大会で熱唱する「アジアの純真」。
これはもう、見逃すと損です。
こんなツーショットは二度とない!
日韓それぞれの青年俳優の魅力たっぷりで、
それが合体してさらに相乗効果を醸している。

青年の持って行き場のない閉塞感を中心に、悲惨な状況を描きつつも、
どこかほんのり温かみがある。
素敵な作品でした。
キムチが妙に食べたくなりますよ!


2009年/日本・韓国/114分
監督:キム・ヨンナム
脚本:渡辺あや
出演:妻夫木聡、ハ・ジョンウ、チヤ・スヨン、徳永えり


映画『ノーボーイズ,ノークライ』予告編