映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

八日目

2009年08月12日 | 映画(や行)
八日目 [DVD]

角川エンタテインメント

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8日目に神が創ったものとは・・・?

* * * * * * * *

銀行の社員教育担当、エリートのアリー。
「笑顔を見せろ! 自分に自信を持て!」
彼はいつもセールスの講習でこのように力説します。
しかし、実のところ、妻には逃げられ、子どもにも逢わせてもらえない。
自分の何が悪かったのか・・・自信喪失。

さて、そんな彼がひょんなことから、ダウン症の青年ジョルジュを拾います。
ジョルジュは、母に会うために施設を抜け出したところ。
でもその母は、少し前に亡くなっていたのですが・・・。

ジョルジュは屈託なく、自分の心のままに笑ったり泣いたり、怒ったりします。
始めは、厄介なものを拾ってしまった・・・と、
困惑し、早くかかわりをなくしてしまいたいと思ったアリーなのですが、
ジョルジュの純真さ、素直さを見るうちに、
自分が喪ったものを思い出してくる。
表面上だけではなく心から愛すること。
そしてそれを素直に表現し伝えること。


旧約聖書では神は1日目に太陽を作りました。
2日目は大地。
そうして3日目、4日目・・・と、いろいろなものを作って、
7日目は休息日。
さて、ではその次、8日目には何を作ったのでしょう・・・?
ということで、この映画の題名が「8日目」となったわけです。
応えは、映画のラストにありますよ。

この作品の映像がなかなかスタイリッシュです。
重くなりそうなテーマですが、
どことなくファンタスティックな仕上がりになっている。
特に、海岸の寂れた遊園地で、
アリーと施設の皆が遊び、花火を上げるシーン。
夢のような一夜。
ほんのひと時、現実の憂さを逃れて、
童心にかえってこんな時を過ごせたら素敵ですね。

1996年/ベルギー・フランス/118分
監督:ジャコ・ヴァン・ドルマル
出演:ダニエル・オートゥイユ、パスカル・デュケンヌ、ミュウ・ミュウ