マラソン大会中に出さなければならない答
* * * * * * * * *
文庫版が出るのを待っていました!
古典部シリーズの最新刊です。
この本、よく見るとカバーがリバーシブルになっていまして、
裏返しにするとTVアニメ版イラストとなっています。
私としてはこちらのカバーのほうが好きなので、うれしい配慮。
助かります。
今作は、5月。
古典部の面々は高2となりました。
なんといきなりマラソン大会のスタートシーン。
同じ所に戻ってくるのになんで長々と走らねばならないのか。
省エネ少年のホータローにとっては、
確かに主義に反する行事でありましょう。
しかしその上、なんとホータローには、
この20キロの走行中に考えなければならない宿題がある。
やれやれ、走るだけでも大変そうなのに、
その上論理立てた思考ができるとういのが、
ゆとりなのか、投げやりなのか(実は"投げやり"の方でした)。
ホータローが出さなければならない答えとは。
この4月、古典部に奇跡的に新入部員が入ったのです。
大日向という元気な女の子。
ところが、「突然入部しない」と本人が宣言したのが昨日のこと。
なぜ急に彼女が心変わりしてしまったのか。
千反田は、それが自分のせいだと思い込み、ショックを受けている。
ホータローは大日向の入部の時からの出来事を一つ一つ詳細に思い出しながら、
彼女の気持ちの変化を読み取ろうとしていきます。
今作の題名がなかなか意味深長。
二人の距離の概算。
実はこのマラソン大会、時差スタートなのです。
2年A組のホータローは、後からスタートしてくるH組の千反田の話を聞くために、
わざとだらだら走ったり、歩いたり。
更に大日向は2年の後の1年B組だったりしますが、
バス停に腰掛けて彼女を待っていたりします。
完全に勝負を投げてますね。
まあでも、そこがホータローらしいところ。
つまりは、ホータローと千反田や大日向の距離の概算、
というのが実際的なところですが、
それは心の距離の問題でもあるのです。
ホータローと千反田の心の距離。
そして、千反田と大日向の心の距離。
今作で最も肝心なところです。
ちょっとした思い込みや先入観。
そういうことで人を見誤ることって確かにあるのかも知れません。
前作「遠回りする雛」の出来事の後、
ホータローは風邪をひいて寝こむことになるなどというエピソードも知れて、
ファンには非常に楽しい作品でした。
そして、大日向さんはやっぱり古典部の気風に合わない気がしまして、
実は辞めていただいてホッとした、
というのがファンとしては偽らざる心境・・・。
いやいや排他的なのは良くない。
わかってはいるんですけどね・・・。
「ふたりの距離の概算」米澤穂信 角川文庫
満足度★★★★☆
ふたりの距離の概算 (角川文庫) | |
米澤 穂信 | |
角川書店(角川グループパブリッシング) |
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文庫版が出るのを待っていました!
古典部シリーズの最新刊です。
この本、よく見るとカバーがリバーシブルになっていまして、
裏返しにするとTVアニメ版イラストとなっています。
私としてはこちらのカバーのほうが好きなので、うれしい配慮。
助かります。
今作は、5月。
古典部の面々は高2となりました。
なんといきなりマラソン大会のスタートシーン。
同じ所に戻ってくるのになんで長々と走らねばならないのか。
省エネ少年のホータローにとっては、
確かに主義に反する行事でありましょう。
しかしその上、なんとホータローには、
この20キロの走行中に考えなければならない宿題がある。
やれやれ、走るだけでも大変そうなのに、
その上論理立てた思考ができるとういのが、
ゆとりなのか、投げやりなのか(実は"投げやり"の方でした)。
ホータローが出さなければならない答えとは。
この4月、古典部に奇跡的に新入部員が入ったのです。
大日向という元気な女の子。
ところが、「突然入部しない」と本人が宣言したのが昨日のこと。
なぜ急に彼女が心変わりしてしまったのか。
千反田は、それが自分のせいだと思い込み、ショックを受けている。
ホータローは大日向の入部の時からの出来事を一つ一つ詳細に思い出しながら、
彼女の気持ちの変化を読み取ろうとしていきます。
今作の題名がなかなか意味深長。
二人の距離の概算。
実はこのマラソン大会、時差スタートなのです。
2年A組のホータローは、後からスタートしてくるH組の千反田の話を聞くために、
わざとだらだら走ったり、歩いたり。
更に大日向は2年の後の1年B組だったりしますが、
バス停に腰掛けて彼女を待っていたりします。
完全に勝負を投げてますね。
まあでも、そこがホータローらしいところ。
つまりは、ホータローと千反田や大日向の距離の概算、
というのが実際的なところですが、
それは心の距離の問題でもあるのです。
ホータローと千反田の心の距離。
そして、千反田と大日向の心の距離。
今作で最も肝心なところです。
ちょっとした思い込みや先入観。
そういうことで人を見誤ることって確かにあるのかも知れません。
前作「遠回りする雛」の出来事の後、
ホータローは風邪をひいて寝こむことになるなどというエピソードも知れて、
ファンには非常に楽しい作品でした。
そして、大日向さんはやっぱり古典部の気風に合わない気がしまして、
実は辞めていただいてホッとした、
というのがファンとしては偽らざる心境・・・。
いやいや排他的なのは良くない。
わかってはいるんですけどね・・・。
「ふたりの距離の概算」米澤穂信 角川文庫
満足度★★★★☆