映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

リンカーン弁護士

2012年07月18日 | 映画(ら行)
清濁あわせ持つスタイリッシュな弁護士



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高級車リンカーンの後部座席を事務所がわりに、
ロサンゼルスを駆けまわる敏腕弁護士のミック・ハラー(マシュー・マコノヒー)。
彼は非常に優秀ですが、麻薬密売人などの弁護をするわけで、
彼のために刑期が軽くなり、じきに出所してきてしまう輩も多いということ。
「社会にゴミをまき散らしている」との批判もあったりします。
しかし、巻きあげるべきところは巻きあげておく、
きっちり仕事として大金の弁護料をいただく、
という割り切った主義。
変に正義感ぶるよりも、こういうのも実際的でスタイリッシュかも。



さてある日、彼は資産家の御曹司ルイス・ルーレ(ライアン・フィリップ)から弁護を依頼されます。
彼は女性への暴行容疑で起訴されたのですが、
本人は「自分は無実で罠に嵌められた」と主張しています。
弁護にあたり、事件を調べ始めたミックは、
自身が過去に担当した事件とこの事件との類似点に気が付きます。
しかし、そのことで彼は大変な苦境に立たされることになる・・・。



罪状が明らかで、その刑をいかに軽くするか。
そういうことも弁護士の役割ですが、
問題なのは“無実”の場合。
実際に何も罪を犯していない人に対して、
刑期がどれくらいかというのは問題ではありません。
もちろん、どんな刑も負うべきではありません。
けれど無実の証明というのは、なかなか難しいことでもあるのでしょう。
スリリングな展開の中で、そんなことも考えさせられます。
「正義」なんて知らないよ、というふうを装いつつ、
やっぱり芯は“正義”のこのミック・ハラーが好きになってしまいました。
自分なりの倫理というものがあって、いつでも彼はそれに忠実です。
彼の苦境はかなりハードなのですが、そこをどう乗り越えるのか。
私は法廷ものには少し苦手感があるのですが、
全く退屈せず、見入ってしまいました。



それにしても、人を見かけで判断してはいけませんよね・・・、
全く・・・・。
マザコンもダメです・・・。

「リンカーン弁護士」
2011年/アメリカ/119分
監督:ブラッド・ファーマン
原作:マイクル・コナリー
出演:マシュー・マコノヒー、マリサ・トメイ、ライアン・フィリップ、ジョシュ・ルーカス、ジョン・レグイザモ