現代に通じる人生を自分で選びとる女性像

* * * * * * * * *
シャーロット・ブロンテ作の有名な作品で、これまでも何度か映画化されているのですが、
なぜか今まで読んでもいないし、見てもいないという・・・。
でもそのおかげで、今作をとてもスリリングに見ることができ、それはそれで幸いなことでした。
(この年でこれを読んでいないというのは、ちょっと恥ずかしい感じなんですけど。)
ところがです、私にはジェーン・エアにまつわる一つの記憶が。
その昔、少女向け漫画雑誌の「りぼん」の付録に、
カラーシリーズという読み切りまんがの冊子がついていまして、
毎月いろいろな方の作品が楽しめたのです。
そんな中にあったのが、わたなべまさこさんの「小さな花」という作品。
これがジェーン・エアのストーリーだったのです。
ただし、孤児院時代の物語。
まあ、子供向けですからね、その先のストーリーはあったとしても理解しがたかったでしょうね。
冷たくて厳しく、そして惨めなこの施設の少女時代のジェーンに、
私はいたく感情移入して何度も読んだ記憶があります。
今ネットで調べたら、この記憶は確かなようで、
この付録がついたのは1963年だったようです。
私は10歳未満・・・!!
このシリーズは結構気に入っていてしばらく家に置いてあったので、
その後大きくなってからも読み返していたので覚えているのでしょう。
・・・今も持っていればかなり“お宝”の部類のようですが、
さすがに、今はありません。
読んでみたい気はします。

さて、前置きばかり長くなりました。
施設で育ったジェーン・エアは、
ソーンフィールドというお屋敷に、住み込みの家庭教師の職を得てやってきます。
そしてその屋敷の主人ロチェスターと恋に落ち、
ついにプロポーズを受けるのですが、
その結婚の日に、彼女は恐ろしい秘密を知ります。

今作は、貧しい女の子がお金持ちに見出され、幸せになるという
シンデレラ・ストーリーではありません。
身分や財産で女性の運命が決められた時代。
彼女はその時代に抗うように、自分の意志で人生を決めていきます。
慎ましく言葉少なの彼女ですが、
だからこそ、その意志の強さが光ります。
もっとも、何の後ろだてもない彼女は、こうしなければ生きて来られなかったのでしょうけれど。
ミア・ワシコウスカが見事にこうしたジェーン・エアを演じきっていました。
今作が出版されたのは1847年。
この時代にこういう女性像というのはかなりセンセーショナルだったようです。
けれども、今もやはりこの自立した生き方にはひかれます。
150年以上も前と、今も同じ課題を有しているというのは、ちょっと悔しいくらいです。
さて一方、ロチェスター氏はある苦悩を抱えているために、
憂いをたたえ、セクシーですね。
孤独な魂がひかれあうというのも、無理がなく納得できます。
それからこのお屋敷の古めかしく陰気な様もすごい。
現に家政婦長(ジュディ・デンチ!)も言っていましたよね。
冬はあまりにも何もなくて気が滅入ると。
夏はそれなりに、多分ご自慢のイングリッシュガーデンなどもあって、心地よさそうですが。
あんなだだっ広いだけで陰気なお屋敷には、怖くてとても住めそうにありません。
特に夜などは・・・。
ジェーンがさまよった荒野は、「嵐が丘」なども思い起こすような、いかにもイギリスの原野。
今作の撮影は、実際に小説の舞台となった英国ダービーシャ州だそうです。
このイギリスの時代と自然、ジェーンの生き様。
ピタリとハマって、本当に見応えのある作品に仕上がっています。
満足、満足。

2011年/イギリス/120分
監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
原作:シャーロット・ブロンテ
出演:ミア・ワシコウスカ、マイケル・ファスベンダー、ジェイミー・ベル、サリー・ホーキンス、ジュディ・デンチ

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シャーロット・ブロンテ作の有名な作品で、これまでも何度か映画化されているのですが、
なぜか今まで読んでもいないし、見てもいないという・・・。
でもそのおかげで、今作をとてもスリリングに見ることができ、それはそれで幸いなことでした。
(この年でこれを読んでいないというのは、ちょっと恥ずかしい感じなんですけど。)
ところがです、私にはジェーン・エアにまつわる一つの記憶が。
その昔、少女向け漫画雑誌の「りぼん」の付録に、
カラーシリーズという読み切りまんがの冊子がついていまして、
毎月いろいろな方の作品が楽しめたのです。
そんな中にあったのが、わたなべまさこさんの「小さな花」という作品。
これがジェーン・エアのストーリーだったのです。
ただし、孤児院時代の物語。
まあ、子供向けですからね、その先のストーリーはあったとしても理解しがたかったでしょうね。
冷たくて厳しく、そして惨めなこの施設の少女時代のジェーンに、
私はいたく感情移入して何度も読んだ記憶があります。
今ネットで調べたら、この記憶は確かなようで、
この付録がついたのは1963年だったようです。
私は10歳未満・・・!!
このシリーズは結構気に入っていてしばらく家に置いてあったので、
その後大きくなってからも読み返していたので覚えているのでしょう。
・・・今も持っていればかなり“お宝”の部類のようですが、
さすがに、今はありません。
読んでみたい気はします。

さて、前置きばかり長くなりました。
施設で育ったジェーン・エアは、
ソーンフィールドというお屋敷に、住み込みの家庭教師の職を得てやってきます。
そしてその屋敷の主人ロチェスターと恋に落ち、
ついにプロポーズを受けるのですが、
その結婚の日に、彼女は恐ろしい秘密を知ります。

今作は、貧しい女の子がお金持ちに見出され、幸せになるという
シンデレラ・ストーリーではありません。
身分や財産で女性の運命が決められた時代。
彼女はその時代に抗うように、自分の意志で人生を決めていきます。
慎ましく言葉少なの彼女ですが、
だからこそ、その意志の強さが光ります。
もっとも、何の後ろだてもない彼女は、こうしなければ生きて来られなかったのでしょうけれど。
ミア・ワシコウスカが見事にこうしたジェーン・エアを演じきっていました。
今作が出版されたのは1847年。
この時代にこういう女性像というのはかなりセンセーショナルだったようです。
けれども、今もやはりこの自立した生き方にはひかれます。
150年以上も前と、今も同じ課題を有しているというのは、ちょっと悔しいくらいです。
さて一方、ロチェスター氏はある苦悩を抱えているために、
憂いをたたえ、セクシーですね。
孤独な魂がひかれあうというのも、無理がなく納得できます。
それからこのお屋敷の古めかしく陰気な様もすごい。
現に家政婦長(ジュディ・デンチ!)も言っていましたよね。
冬はあまりにも何もなくて気が滅入ると。
夏はそれなりに、多分ご自慢のイングリッシュガーデンなどもあって、心地よさそうですが。
あんなだだっ広いだけで陰気なお屋敷には、怖くてとても住めそうにありません。
特に夜などは・・・。
ジェーンがさまよった荒野は、「嵐が丘」なども思い起こすような、いかにもイギリスの原野。
今作の撮影は、実際に小説の舞台となった英国ダービーシャ州だそうです。
このイギリスの時代と自然、ジェーンの生き様。
ピタリとハマって、本当に見応えのある作品に仕上がっています。
満足、満足。

2011年/イギリス/120分
監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
原作:シャーロット・ブロンテ
出演:ミア・ワシコウスカ、マイケル・ファスベンダー、ジェイミー・ベル、サリー・ホーキンス、ジュディ・デンチ