万華鏡のような森見ワールドに魅了される
* * * * * * * * *
京都祇園祭の夜に繰り広げられる不思議なストーリーです。
短篇集ですが6篇からなるこのそれぞれのストーリーは、互いに関連しあっています。
祇園祭は話には聞きますが、私は訪れたこともなく、
この本でその賑やかさ、ちょっぴり覗いてみたくなりました。
宵山は7月の16日に行われるそうで、
なんと私、はからずもちょうどこの日にこの本を読んでいました!!
・・・なにやら虫の知らせとでもいいましょうか。
不思議な因縁でございます。
冒頭の「宵山姉妹」では、小学生の姉妹が宵山で大賑わいの町をさまよいます。
積極的で向こう見ずな姉は、寄り道をしないようにとの親の言いつけを破り、
渋る妹を引きずるようにして祭を見物に来てしまいました。
しっかり握っていた手がいつの間にか離れ離れになり、
妹は迷子になってしまいます。
そんな時、人ごみの中をまるで金魚が水中を泳ぐように、すいすいと走り回る赤い着物の少女たちに出会います。
一緒においでよ・・・
彼女たちの誘いに、ついつられてしまうのですが・・・。
人ごみと喧騒の祭。
連なる提灯の明かり。
露天の賑々しさ。
その明かりの届かないほの暗い場所に何かが潜んでいるような・・・、
そんな不思議な雰囲気がうまく現されています。
しかし、今作はほんのプロローグ。
私たちはさらなる森見ワールド、宵山の迷宮に足を踏み入れることになります。
次の「宵山金魚」では、藤田という男が大変な目にあってしまいます。
"宵山法度違反"をおかし、「宵山様」の裁きを受けることになる。
次々に繰り広げられる夢の様な光景。
荒唐無稽ではありますが、いかにもそれは森見登美彦の世界。
いや本当に、これは単に幻想・・・と思えたのですが・・・。
私はこんな光景をジブリのアニメで見てみたい!!と強く思いました。
そしてなんと、このストーリーの舞台裏が次の「宵山劇場」。
たった1人の観客のために仕組まれたその舞台とは・・・!
これはでは興ざめではないか・・・と思いながらも、
その酔狂さとほんのりと漂う悲哀に、結局は打ちのめされました。
その後の、毎日毎日"宵山"の一日を繰り返し生きる話もすごいですし、
ラストでは冒頭の姉妹の話に戻るのですが、
こちらは姉の視点に立っています。
改めて考えてみると、この本は2作がセットで、それぞれ別々の視点から描かれている。
それで大きく3つの話、といえるかも知れません。
それは裏と表ともいえるくらいかなり様相が異なっています。
そしてまたそれぞれの話が時には交差。
同じ日の同じ時間を共有しているわけで・・・。
現実と幻想が入り乱れ、
常に現れる赤い着物の少女たち、
空中に浮かぶ巨大な緋鯉、
金魚鉢の風船
・・・ああ、なるほど、まさしく万華鏡の世界。
これらをアクセントとしながら、見る角度によってくるくる変化していく。
その世界に翻弄され、
そして堪能しました。
森見ワールド、この本に限ってはまさに
万華鏡のミラクルワールドでした。
「宵山万華鏡」森見登美彦 集英社文庫
満足度★★★★★
![]() | 宵山万華鏡 (集英社文庫) |
森見 登美彦 | |
集英社 |
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京都祇園祭の夜に繰り広げられる不思議なストーリーです。
短篇集ですが6篇からなるこのそれぞれのストーリーは、互いに関連しあっています。
祇園祭は話には聞きますが、私は訪れたこともなく、
この本でその賑やかさ、ちょっぴり覗いてみたくなりました。
宵山は7月の16日に行われるそうで、
なんと私、はからずもちょうどこの日にこの本を読んでいました!!
・・・なにやら虫の知らせとでもいいましょうか。
不思議な因縁でございます。
冒頭の「宵山姉妹」では、小学生の姉妹が宵山で大賑わいの町をさまよいます。
積極的で向こう見ずな姉は、寄り道をしないようにとの親の言いつけを破り、
渋る妹を引きずるようにして祭を見物に来てしまいました。
しっかり握っていた手がいつの間にか離れ離れになり、
妹は迷子になってしまいます。
そんな時、人ごみの中をまるで金魚が水中を泳ぐように、すいすいと走り回る赤い着物の少女たちに出会います。
一緒においでよ・・・
彼女たちの誘いに、ついつられてしまうのですが・・・。
人ごみと喧騒の祭。
連なる提灯の明かり。
露天の賑々しさ。
その明かりの届かないほの暗い場所に何かが潜んでいるような・・・、
そんな不思議な雰囲気がうまく現されています。
しかし、今作はほんのプロローグ。
私たちはさらなる森見ワールド、宵山の迷宮に足を踏み入れることになります。
次の「宵山金魚」では、藤田という男が大変な目にあってしまいます。
"宵山法度違反"をおかし、「宵山様」の裁きを受けることになる。
次々に繰り広げられる夢の様な光景。
荒唐無稽ではありますが、いかにもそれは森見登美彦の世界。
いや本当に、これは単に幻想・・・と思えたのですが・・・。
私はこんな光景をジブリのアニメで見てみたい!!と強く思いました。
そしてなんと、このストーリーの舞台裏が次の「宵山劇場」。
たった1人の観客のために仕組まれたその舞台とは・・・!
これはでは興ざめではないか・・・と思いながらも、
その酔狂さとほんのりと漂う悲哀に、結局は打ちのめされました。
その後の、毎日毎日"宵山"の一日を繰り返し生きる話もすごいですし、
ラストでは冒頭の姉妹の話に戻るのですが、
こちらは姉の視点に立っています。
改めて考えてみると、この本は2作がセットで、それぞれ別々の視点から描かれている。
それで大きく3つの話、といえるかも知れません。
それは裏と表ともいえるくらいかなり様相が異なっています。
そしてまたそれぞれの話が時には交差。
同じ日の同じ時間を共有しているわけで・・・。
現実と幻想が入り乱れ、
常に現れる赤い着物の少女たち、
空中に浮かぶ巨大な緋鯉、
金魚鉢の風船
・・・ああ、なるほど、まさしく万華鏡の世界。
これらをアクセントとしながら、見る角度によってくるくる変化していく。
その世界に翻弄され、
そして堪能しました。
森見ワールド、この本に限ってはまさに
万華鏡のミラクルワールドでした。
「宵山万華鏡」森見登美彦 集英社文庫
満足度★★★★★