映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ぱいかじ南海作戦

2012年07月28日 | 映画(は行)
毎日が夏休み


              
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映画「舞妓Haaaan!!!」で、変な人、と思った阿部サダヲ。
今年のNHK大河ドラマ「平清盛」の信西役を見て、
なんだか圧倒されてしまったのです。
始めはコキタナイ乞食坊主。
同じくコキタナイ清盛とともに、大国、宋の国へ行ってみたいと夢を共有する。
あれよあれよという間に信西は権力を得て国政を操る・・・。
しかし、やがて夢敗れる時が来て・・・。
ドラマチックな信西の生き様を、
阿部サダヲ氏が熱演していました。
それで今作も気になって見たくなったわけです。




失業と離婚を同時に体験した佐々木(阿部サダヲ)は、
人生をリセットするために南の島へやって来ました。
レンタカーでドライブ。
軽快に走ってきた道が、突然「終点」。
けれどその先に細い道を見つけた彼は、更に前進してみます。
鬱蒼とした茂みを抜けると、そこには美しく静かな海岸が広がっていました。
そしてそこにいたのは、この海岸で暮らすホームレスの4人。
海岸でのサバイバル生活に佐々木もすっかり同調して、共に暮らし始めたのですが、
ある朝、目覚めると4人は佐々木の全財産を持って姿をくらましていたのです。
途方に暮れている佐々木のもとにやってきたのは、
人のよさそうな都会の若者オッコチ(永山絢斗)。
佐々木は“サバイバル生活”の達人を装い、
今度はオッコチと共同生活をはじめるのですが・・・。



“ぱいかじ”とは南風のこと。
ぱいかじに吹かれると頭の中がもやもや~としてくるそうな。
確かに、こんなふうに南の島の海岸で一日南風に吹かれていたら、
大抵のことはどうでも良くなってしまいそうです。
この島が無人島で、そこにたまたま流れついた、というのとはわけが違います。
少し離れているけれどコンビニもあり、お金さえあればひと通りのものは揃います。
そういうところがいいですよね。
だからサバイバル生活でも悲壮感がない。
そうした自然の中の生活は、いってみれば毎日が夏休み。
仕事も離婚のことも忘れて。
毎日、ちょっぴりの冒険と、多大なのんびり。
・・・これもたった1人ならなんだかわびしいのですが、
仲間がいればまた格別、というわけです。
佐々木は騙された4人組にリベンジを図るのですが、
ちっともアクションにもサスペンスにもスペクタクルにもならないところがまた南国風。
「佐々木」のくせに佐々木小次郎ではなくて宮本武蔵だったりする。



佐々木は筏に乗って宋国まで行くつもりでは・・・と、私には思えてしまいました!



「ぱいかじ南海作戦」
2012年/日本/115分
監督:細川徹
原作:椎名誠
出演:阿部サダヲ、永山絢斗、貫地谷しほり、佐々木希、ピエール瀧