映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

君がくれたグッドライフ

2016年12月15日 | 映画(か行)
一番幸せと思えるときに・・・



* * * * * * * * * *

先に見た「92歳のパリジェンヌ」同様、
尊厳死をテーマとした作品です。



年に一度、親しい仲間との自転車旅行を恒例としていたハンネスとキキ夫妻。
今年の行き先はベルギーということにしたのですが、
他の仲間達は「ベルギーなんてチョコくらいしかない」と、不満のようでしたが・・・。
実は、ハンネスはALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断されていて、
日に日に筋力が衰えていたのです。
このままではまもなく歩くことができなくなり、寝たきりになって、
管につながれ衰えながら死んでいくことになる・・・。
ハンネスは安楽死が合法とされているベルギーへ行って、
そこで命を閉じることに決めていたのです。
そのことを聞いた友人たちはショックを受け、
この旅行も取りやめになりかけたのですが、
やがて本人の意志を尊重し、皆でベルギーを目指すことになります。



命と向き合う5日間。
空気は重くなりがちですが、そんな中で「課題ゲーム」が、気晴らしになります。
旅行中に実行しなければならない無茶な課題を出し合うのです。
「スカイ・ダイビングをすること」とか「女になる」とか・・・。



それでも次第にゴールが近づくと、また気分は沈んできます。
ハンネスはこの数日の間にも力が衰えていくし、
自分で決めたこととはいえ、最期には本音も漏らします。

「おしっこをチビリそうなくらい怖い・・・」

そんな彼の覚悟を決めさせたは、やはり仲間たちの存在。
良い仲間たちがいて、妻がいて、旅をして、
・・・これまでの人生が豊かであったことが実感されるのです。
確かに、例えば将来あるかもしれない仲間たちの、
金銭やら痴情のもつれによる修羅場(?)も見ないですむし、
地球温暖化やらエイリアンの侵略による地球の滅亡も見なくてすむ。
一番幸せと思えるときに生を終わることができるなら、
それは幸いなのかもしれません。

う~ん、「致死の病」でなくても安楽死はアリなのではないか
などと思ったりして・・・。



君がくれたグッドライフ [DVD]
アリアーネ・シュレーダー
アルバトロス


「君がくれたグッドライフ」
2014年/ドイツ/95分
監督:クリスティアン・チューベルト
出演:フロリアン・ダービト・フィッツ、コリア・コーシッツ、ユリゲン・フォーゲル、ミリアム・シュタイン、フォルカー・ブルッフ

命を考える度★★★★☆
満足度★★★.5