意外な展開に呆然
* * * * * * * * * *
始め本作の題名をみたところでは、何やらいかがわしそうで、
パスするつもりだったのですが、
キャストがニコール・キッドマン、キルステン・ダンスト、エル・ファニングにコリン・ファレル。
な、なんと豪華な・・・。
ということで見る気になりました。
しかも本作、1971年「白い肌の異常な夜」というクリント・イーストウッド出演作を、
ソフィア・コッポラ監督が女性目線で再びの映画化をしたもの。
私、イーストウッド出演作品はかなり見たつもりですが、これは見ていなかったなあ・・・。
残念。
さて、舞台は南北戦争中のアメリカ南部。
ある女子寄宿学校に5人の生徒と園長、教師がひっそりと毎日を過ごしています。
戦火を逃れて、他の多くの生徒は家に帰っていて、
残っているのはこの7名の女性たちのみ。
ある日そこに、負傷した北軍兵が一人舞い込んできます。
すぐに南軍に引き渡せば、命を奪われるかもしれない。
キリストの慈悲の心が大切・・・と、彼女らは自らを納得させ、
彼・マクバニー伍長(コリン・ファレル)を介抱し、匿うことにします。
男は紳士的な態度で、しかもちょっといい男。
園長のミス・マーサ(ニコール・キッドマン)、教師エドウィナ(キルステン・ダンスト)をはじめ、
おませな生徒アリシア(エル・ファニング)たちも皆、彼に興味を持ち、
近づいて関心をひこうとします。
彼女らの中で、次第に大きくなっていく欲情、嫉妬・・・。
マクバニーの傷もほとんど癒えたある夜、事件は起こります・・・。
セピア調の落ち着いたトーンに沈んだ作品なのですが、
それに反して次第に事態は異様なものへと変わっていきます。
そもそもマクバニーは誰に対しても愛想が良くて気のある素振り。
これがいけません・・・。
しかし彼はここで生き延びるためには女たちに媚を売る必要があったとも言える。
戦争で、若い男が身の回りにいないというこの状況で、
女たちもどこか狂わされていたのかもしれません。
それにしても意外な展開で、呆然、唖然。
女は怖い、と男性は思うでしょうか。
女たちのこうした結束は、いかにもありそうなことだ、と私は思ってしまいましたが。
女の影の部分を鋭く描いた問題作。
<ディノスシネマズにて>
「The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ」
2017年/アメリカ/93分
監督:ソフィア・コッポラ
出演:コリン・ファレル、ニコール・キッドマン、キルステン・ダンスト、エル・ファニング、オオーナ・ローレンス
サスペンス度★★★★☆
満足度★★★★☆