映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

阪急電車 片道15分の奇跡

2018年03月15日 | 映画(は行)

地域の人々のつながり

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有川浩さんの「阪急電車」原作は読んでいたのですが、映画の方は未見でした。


兵庫県宝塚市の宝塚~西宮市今津駅までを結ぶ阪急今津線。

婚約中の恋人を後輩社員に奪われたアラサーOL(中谷美紀)

恋人のDVに悩む女子大生(戸田恵梨香)
息子夫婦とギクシャクしている老婦人(宮本信子)

受験に悩む女子高生(有村架純)
友人から浮いている女子大生(谷村美月)
息子の友人の母親仲間との付き合いに悩む主婦(南果歩)

など、この電車を利用する人々の出会いが描かれます。
誰もが少し行き詰まっていて、一人ぼっちで、
誰にもこんな気持をわかってもらえないとそれぞれに思っているわけですが・・・。
ほんの少しのおせっかい心で、事態が変わっていく・・・。
そのおせっかいな言葉はその人に勇気を与えて、
そしてそれがバトンされていく、というのがなんとも心地よい。



同じ沿線の電車は、通学や通勤で同じ時間帯に同じ人が利用することが多いもの。
せっかく同じ電車に乗り合いながら、他人だからと知らない顔をして、
それぞれがケータイ(作中ではまだスマホがなくて全員がガラケー)とにらめっこ。
こういうのは少し損なのかもしれませんねえ・・・。
見知った顔ならほんの少しでも言葉をかわすことで、心が温まることがあるのかもしれない、
そんな気がします。



本作の人と人とのつながりの妙、ここは原作の勝利。
はい、楽しめる作品です。
ほんの7年ほど前の作品ですが、
ガラケーがすっかりスマホに入れ替わるほどの時の長さなんですねえ・・・。



それと、電車の中や公共の場でのおばちゃんの大声は、
自分も気をつけなければ、と思うことでありました。
でもね、あんなに怒られなければならないことなのかなあ・・・という気がしなくもない。
映画の上映中におしゃべりしていたというわけではなし、
私は、したり顔で説教をする上品そうなおば様にもちょっとムカつきます・・・。
いえ、宮本信子さんは大好きなんですけど。

原作はこちら→「阪急電車」有川浩

阪急電車 片道15分の奇跡 [DVD]
有川浩,岡田惠和
ポニーキャニオン



<WOWOW視聴にて>
「阪急電車 片道15分の奇跡」
2011年/日本/119分
監督:三宅喜重
原作:有川浩
出演:中谷美紀、戸田恵梨香、宮本信子、南果歩、谷村美月、有村架純、芦田愛菜、勝地涼、玉山鉄二
人々のつながり度★★★★☆