バイきんぐ小峠が好きになった理由、「ありふれたテーマをそれまでにない切り口で迫る」、彼の方法を聞いたからだったが、台本を書くたび苦しんでいるのも、実はそこなんだ。今書いている台本も同じこと、よくある話を引っ張り出して、そこに思いがけない仕掛けを施すこと、そこで苦しみ悩んだ。もちろん、菜の花座のだれを中心に書くか、とか、だれをどう絡ませるか、人事担当者としての座付き作者の務めを果たしつつだ。
今回は、舞台が続いたシニア女優陣はお休み、菜の花座生え抜きとシニア男性で作る。と、なると若手3人をどう生かすかが勝負どころとなる。おっと忘れちゃいけない、笑いの追求、これが一番だった。3人を転がしながら、どう笑いのシチュエーションを作るか、ってことだ。
で、思いついたのが競わせること。がむしゃらな意地の張り合い、面白いんじゃないか?しかも、それぞれ自分の不幸を言いつのるって設定ならどうだ。幸せを自慢しあって実は不幸せなんて話しはよく聞くし、わざわざ不幸せ面して同情買うての日常茶飯事。しかし、どこまでもどこまでも、まっきとなって己れの不幸を言い張るなんてのは、普通ないことだし、どう見ても滑稽だ。しかも、不幸ネタがどんどんエスカレートして行って、ついには虚構のでっち上げにたどりつくとなると、もうバカバカしくて、笑いながら、人間の業に感じて切なくなるんじゃないか。そこに今話題のレンタルおじさんを絡ませる。こうやって、幾重にも笑いの網を張って、これでもかとばかりにギャグの餌をばら撒くのだ。
目標としては、3分に一度は笑いを取りたい。1シーンに5回は笑わせたい。そして、最後はしんみりと人間の幸せてものに思いを馳せたい。随分欲張った下心だ。多分この半分も実現できないのかもしれないが、狙いは大きく、逃した魚はもっと大きく!これでもなくっちゃ、やってられないよ。