ステージおきたま

無農薬百姓33年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

非常手段だ!笑いを解説

2015-10-31 09:03:03 | 演劇

 菜の花座次回公演『不幸せくらべ』、稽古が始まって1週間、まずは台本をざっと通して読み終え、2回目からはじっくりと直しを入れながら読み進んでいる。

 最初の読みがおよそつまらないのはいつものこと、問題は、その後、どこまで作者の意図を汲んで面白くしていけるかってことだ。ダメだし読み、つまりダメだししながら何度も何度も言い直しつつ読み進んでいく方法に入って、重大な難問にぶち当たった。

 役者が笑いを理解できない?!時がしばしばあるってことだ。ちょっとした言葉の使い分け、間の取り方、ギャップのあるせりふ、想像できる仕草、設定の滑稽さ、こちらが指摘しないと、ほとんど気づかず素通りしてしまうのだ。これには焦った。僕が面白いと思って書いたものは、役者たちも面白いと感じてくれるはずって、無前提に決め込んでいたからだ。もうすでに10年近く、人によっては20年近くも一緒に芝居作ってるわけだから、そのくらいはツーカーだよな、って。

 それがどうも大きな勘違いらしいことがわかった。よほど羽目を外した突拍子もないせりふや情景なら別だが、微妙なニュアンスの笑い、ニヤリ!だったり、ウフッ!だったりする部分は、笑いのせりふ、コミカルなシーンと感じ取っていないようなのだ。ちょっとしたずらし、言葉のギャップ、間合いの指示、えっ?ここ面白いの?ここで笑い取るの?って聞き返しはしないものの、明らかに不審な表情。これはしたり!!

 一つには、笑いのツボが、人により異なっているってことがある。笑いの好みてのはけっこうあるので、僕が笑えるぅぅぅ!って腹抱えていても、どこが面白いのそんなとこ?なんて行き違いが生ずることは大いにあり得る。実際、僕だって、TVのバラエティ番組、ほとんど??か、くっだらねえ!か、それでお笑い芸人かよ!だから。そうそう、NHKコント番組『ライフ』も同様、えっ、なにこれ、どこおもしゃいの??だったっけ。あっ、唐突だが、同じくNHKBS『七人のコント侍』現在のシリーズはいい!とても笑える。メンバーの、麒麟の川島、ハマカーンの浜谷、ジャングルポケットの斉藤が演技力もお笑い力もかなり高いものを持っているし、シェリーの美女ボケも悪くない。何より、台本が強力になった気がしている。設定やせりふが面白いので、芸人たちの個性も十分に発揮されている。これ、寄り道。

 笑いに対する好みの違いは認めつつも、どうもそればかりじゃない気がする。アクセントが直らないのが、耳の聞き分け力不足なのと同じように、言葉を読み切る力が足りないのじゃないかと感じている。声が発し方で多彩な意味合いを表現できるように、書かれた言葉にも沢山の意味やニュアンスがまといついているものなのだ。その多様な意味合いから、その場に相応しいものを選び取る、感じ取る、これが言葉を読み切る力だと思うのだが、どうも、その読み切り力が足りない。

 そこで始めたのが、逐一笑い講義法!台本を読み進めながら、笑いの場面に来ると、ここ笑い取るとこだから!と指摘して、その言葉、あるいは情景がどうして笑いに繋がるかを解説するようにしている。こんなこと、本当はしたくない。台本読めば、こちらの狙いも言葉の面白さも仕組まれたギャグもすべてピピンと来るようであって欲しい。それに応えて、しっかり笑い取れるようなせりふ術を自ら工夫できるようであって欲しい。でも、現実は、・・・そう、現実を見つめないとね。

 てことで、ここ当分、台本読みは笑いのレッスン!ってことで進むことになる。

 

コメント
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