ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

子狸遭難!

2016-07-07 08:49:10 | 農業

 農作業、まずはハウスのチェックだ。暖かな天候に恵まれわずか4日で発芽がそろったキャベツ、ブロッコリー、カリフラワーに水やり。敷地の半分をほぼ占領しつつあるスイカ、メロン、着いたかなぁ、実は?と、覗いて回る。トマトの方は気温が上がってぐんと元気になった。こっちは脇芽摘み。ついでにアカザやアオビユなんかの雑草を引っこ抜いて、あれっ?なんだ?入り口近く、ピーマンの根元に茶色の塊。

 なんと、狸!それも子どものようだ。死んでいるのか?近寄って覗き込むと、か細いながらも息をしている。毛皮は濡れてつんと突き出し、今どきはやりの髪型のよう。傷口は無いようだが、尻の部分の毛が抜け落ちている。外敵に攻撃された様子はない、となると車にはねられたか?ハウス前はそこそこに交通量の多い県道、米沢市内を迂回して栗子の下に抜けられ知る人ぞ知る裏ルート、それだけにスピードを出して突っ走るトラックが多い。

 夜間、はねられたのだろう。辛うじて這いつくばって開いていたハウスに転がり込み、そこで力尽きた、そんな感じだ。うつろな目が悲運を悔やむように悲し気に開かれている。いや、ただ苦しみに必死に耐えているだけのことかも知れない。

 ちらと、動物病院へとの思いも浮かんだが、ここいらで暮らすなら事故も人生、狸生の一つ、最後の一時を雨露をしのげるハウスの中で過ごしてもらうしかない、とそっとその場を離れた。明日になったら、畑の隅に葬ってやるか。

 翌日、あれっ?子狸、いない!?うん?どこかに這いずって行ったか?周囲を見回すも、どこにもいないし、そんな痕跡も見られない。考えられる可能性は、元気になって仲間のところに戻って行った、それが一番好ましい。次の想像は、母親が探しに来て瀕死の我が子を巣に連れ戻した。そんな野生動物番組みたいなことがあるのか?もっとも高い可能性、これは最悪だが、キツネとかイタチとか他の動物が、今夜のおかずとばかりにくわえて行ったか?まっ、ありそうなのは、最後の可能性だろう。それも仕方ない。野生動物の生きる掟ってもんだ。

 田植えから1か月、雨が降ったその夜には、道路上に大量のカエルの轢死体がへばりつく。どうして危険な道路を横切ろうとするのか。何がカエルたちを旅へ駆り立てるのか。彼らの行先に道路を作った人間が悪い。そうかも知れないが、人間が作った田んぼがあるから、あれほど多くのカエルが繁殖できている。狸の暮らしぶりはわからない。人間たちが勝手に入り込んできて、と怒りを募らせているのかもしれない。人間追放を唱える一派だっているかもしれない。だがなぁ、彼らもここに住み、我々もこり地で暮らしているという現実はどうにもならないんだよ。お互い適度に欲をかきながら、棲み分けていくしかないんだろう。

 もし、元気になって戻ったんなら、子狸、今度は車、気を付けるんだぞ!

コメント
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