さすがの青菜漬けも底ついちまって、残るは赤カブの甘酢漬け。なんとなく脇に追いやられ、放ったらかされ、忘れられてたが、意外や意外、発酵することもなく、かびることもなく、はたまた、身が柔らかくだらけることもなく、歯ごたえ、味わいしっかりと残して、お見事、健在だった。
この残りものの赤カブ漬けを細々と食いつないで2週間、愛しき最期のひとかけも無事腹におさまり、とうとう漬物なしの日々に突入した。糠床を復活しようにも、漬ける野菜なし。あるものと言えば、畑に茎立ち、冷蔵庫にジャガイモ、ニンジン、白菜名残り。キュウリやナスなんか、夏野菜の収穫なんぞ先のまた先。しばし、漬物なしの暮らしを耐えるしかないか。
種まきの準備で小屋を整理整頓、腐った貯蔵野菜とか芽が出た赤ジャガとかを引っ張り出してたら、おおっ!赤カブ!お、おい、おまえ、生きてたのか?!なんとなぁ、逞しい奴じゃないか!もう春も春、桜の花だって咲いたんだぜ。この暖かさの中で、腐ることなく、すが入ることなく、平気な顔して生き延びてんじゃないか。
よしよし、さっそく甘酢漬けにしてあげよう。汚れを丁寧に落としてぇ、へたや根っこ、変色した部分など切り落とし、二つ割り、三つ割りしてみれば、ほぉれほれほれ瑞々しいこの輝き。昨秋収穫した時のままだよ。
漬け汁は前回の残りに、酢、塩、砂糖を足して、味を調え、注ぎ込む。最後に激辛唐辛子2本放り込んで、あとは重石をして、出来上がり。明日にはさっそく食べられることだろう。
これであと数週間、食卓をそっと控えめに彩ってくれることだろう。NO LIFE NO PICKLES!漬物のない人生なんて!