菜の花座次回公演、すでに期日もタイトルも決まってる。6月14日(日)で『もう一人のコント志願』。
1月いっぱいは参考資料読んで、2月からはいざいざ台本書きに!って思惑、早くも頓挫しそうだなぁ。ごそっと集めた資料本、ほとんど手つかずのまま、ここまで読んだのはわずかに3冊!こりゃ締め切り延期、間違いなしだぜ
井上ひさしさんの没後10年、なにかしら因んだもの書こうと思ってさ。浅草時代の井上さん絡み、いいんじゃないか?面白そうだぜ、って思い付きは悪くないんだが、はて、どう書くか、どう迫るか、全然目途が立たない。ほのかな煙一筋さえ立ちのぼらない。まあね、おいおいさ、おいおい、って時間ないんだぜ。
攻める砦が堅固なら、搦め手から潰していくのが常道、その時代の雰囲気をまず掴んでおこうじゃないの。で、この2冊。
半藤一利さんの『昭和史・戦後編』、以前読んだものなんだが、まず、終戦直後から60年安保あたりまでの政治・社会の有様を振り返る。2度目となると、理解も深くなって、戦後講和にまつわるいざこざとか東京裁判のこととか、認識を新たにすること多々あった。中でも、当時の保守政治家の考えや行動については、漠然と思い描いていたことがでんぐり返って目からウロコだった。例えば、吉田茂なんて、その頑固で貴族趣味の振舞いから、保守反動だと漠然と思っていたが、徹底的に再軍備に抗った人とは知らなかった。恥ずかしい。一方、鳩山一郎なんかは日ソ国交回復を果たしたってこともあるし、鳩山由紀夫の父ちゃんだし、鳩だし、アホか!なんか保守内ではハト派かな、なんて無知の至り、彼の一番の目的は再軍備と憲法改正だったなんてね。さらに、戦前にゃ、統帥権干犯じゃぁ!なんて叫んで、軍部専横への道を開いた重罪犯だったんだ。知らないってことは恥ずかしくも恐ろしい。
半藤さんの本が信頼できるのは、党派に片寄せしないのはもちろんだが、自分の経験を大切にしつつ時代を見つめている姿勢だよな。文藝春秋の編集者だったってこともあって、文化や暮らしにも目が届いている。ここらが、歴史学者の書く戦後史とは大きく異なるところだ。で、そういう時代の雰囲気ってもんを教えてもらいたくて、まずはこの本。
次に手に取ったのは鶴見俊輔の『戦後日本の大衆文化』。ほれほれ、芝居の題材に近づいてきたぜ。漫画の歴史とか、漫才の成り立ち、明治以降の歌謡の変遷、うーん、守備範囲広いなぁ。ためになる。漫才は主客たる大夫に対して才蔵の呆けツッコミが発端で、そこから、権威のひっぺがしとか価値のどんでん返しに繋がっていった。だから、底流は反権威だ。なんて話は、ぜひぜひ、今のお笑い芸人たちに聞かせてやりたいね。特に安倍様御用の吉本芸人たちに。
歌謡の変遷なんかも、歌詞はもちろん、楽譜まで載ってる。かと思えば、サークルって言葉の成り立ちから、市民運動や農民の反基地闘争、水俣闘争にまで及んだり、くらしぶりの項では、「サザエさん」のテーマをたどりつつ戦後社会の在り方を紐解いたり、いやぁ、凄いねぇ、鶴見さん!大学の頃、隣りの教室で講義・ゼミしてたんだよねぇ。あの頃、覗いてたりすれば、もう少し深いものの見方もできるようになったかもなぁ、残念。あっ、鶴見さんの学科の学生だった友人は、卒業後、おもちゃの会社興したりしてたが、あれも影響受けてたのかもね。
一応、付箋なんか貼ったりしてるけど、どこまで資料として役立つかは、まったく見通し不良。まっ、なんとなく、あの戦後10年間が頭の中に漂うようになったってことくらいかな。そんな曖昧な成果で安心してちゃいかんのだけど、すぐれた本に出合えたって喜び、これはまた、貴重なものなんだよな。