Netflix、値上げするってよ。スタンダード1320円から1490円、いいよいいよ、さっぱり気にしない。毎晩楽しませてもらって、このお値段、世の中の製品、サービスでこれほどのコストパフォーマンスのものって、そうはないぜ。さらに質の高い作品送り出してくれるなら、もっと高くたって我慢する。おっと、この価格で結構、結構!
しばらく感想を書いていなかったが、見る暇なかった、なんて全然、ない。9時45分からのNetflixタイムは一晩たりとも外してない。立て続けに吸引パワー絶大の作品に出合ったからなんだ。
まずは『オーファン・ブラック』。シーズン5まで一気見だった。ってことは、一晩2話見続けたとして半月以上、この作品に釘付けになってたってことだ。すでに書いたが、見どころは盛りだくさんだ。主演女優が、なんと8役?いやそれ以上かも、を一人で演じ切るって役者としての超能力はもはや毎回感嘆以外になかった。エミー賞主演女優賞受賞て、当たり前だろうな。中でも主役は不屈のパンク母ちゃんサラ、
これがもう、惚れるぜぇぇ、ってレベル、いいなぁぁぁ。ついつい、真似してフード付き黒ジャージを購入、ジム通いに着て行ってる。へへっ、いい歳のジジイがよ。
続いて見たのが『フランケンシュタイン クロニクル』。
意表をついた目の付けどころと思いがけない展開に振り回される作品だ。なんと、小説「フランケンシュタイン」を書いたメアリー・シェリーが登場するんだぜ。フランケンシュタインは彼女の空想の産物じゃなかった!そこには、不死を、甦りを科学的に成し遂げ得ると秘密裡に研究するグループがいた、という、仰天の設定なんだ。
フランケンシュタインが蘇る、とかってお話は想定の範囲内だが、誕生の秘密が当時の先端?科学や医術とキリスト教信仰とのせめぎ合いとして描かれる、こりゃ面白くないわけないだろう。次々に裏切られる展開、このスリルを保ち続ける手腕も見事なものだ。シーズン1は濡れ衣を着せられた主人公の警部の公開絞首刑のシーンで終わる、んだが、これがなんと・・・・ダメだ、こればっかりはネタバレさせられない。見てくれ、ぜひ。
立て続けに2本見て、その共通点に考えさせられた。『オーファン・ブラック』はクローン技術による新しい生命の誕生とその野望の物語だ。一方『フランケンシュタイン クロニクル』は不老不死、生命の再生が主題になっている。どちらも、この夢(悪夢)の技術に憑かれた科学者とその妄執に必死で抗う人間がテーマになっている。
まさしく、今的、課題じゃないか。高齢社会のますますの進行、人々は、俺もだが、なんとか若さを保ちつつ寿命を長持ちさせたいと願っている。溢れかえるサプリメントの宣伝を見れば、この欲望の熱さがよくわかる。遺伝子治療もips細胞の利用などですでに実用化の段階だ。ヒトクローンを生み出した中国の若い科学者は叩かれて息をひそめているが、あるいはそその研究は陰で継続されているかもしれない。どこかの医療企業、あるいは国の秘密計画として。気づいたころには、我々の隣人が不自然に長生きしていたり、同じ遺伝子を持つ人間が何気なく暮らしているかもしれない。
こんな時代の不安を見事に描き切ったのが、この2本の作品だ。この不気味さ、救いのなさ、特に『フランケンシュタイン クロニクル』、が問いかけるものは、重い。ずしりと腹の底にいつまでも居座っている。