自然治癒力セラピー協会=Spontaneous Healing Therapy Japan

自然治癒力を発揮させるために、心と体の関係を考えます。

遺伝子から見る"腹八分目と長生きの効用”

2019年06月07日 | 自然治癒力・生命力・発揮する考え方

心の持ち方が遺伝子のスイッチをONにする     2019・6月7日

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 村上和雄博士は、筑波大学名誉教授で遺伝子の解読に成功した、

遺伝子研究を牽引してきた方だ。

この方があるときテレビで高僧と対話したときがあった。

すると、不思議なことに、科学者である村上博士のお話が、

相手の方以上に宗教的に、深い境地に至っているということが

理解された。

 

つまり、遺伝子の研究の中に、村上博士はさまざまな、

理屈では解決つかない"不思議さ’を垣間見ておられ、

その背景にある存在に深い洞察をされていた結果、

このように他者には見えたのだろう。

 

さて、先回6月1日に“恐れと菜食主義”について触れさせて

いただいたが、今日はその追加分として、村上博士の意見

とともに、”遺伝子と食生活の関係”について

ご紹介したい。

 

血糖値などのコントロールも、遺伝子の働きが大きい。

遺伝子の働きは多岐にわたっているので、後程、あと

数回あと(”恐れ~”のタイトルのシリーズが終了したら)

自然治癒力との関係で再度取り上げてみたいと思っている。 

 

その遺伝子の働きを作用させる要因に、大気汚染や

騒音などといったほかに、食べ物や栄養成分がある。


遺伝子の世界的有名な筑波大学名誉教授 村上和雄博士は

遺伝子の働きと食事の関係で次のように書いている:

 

“食事をして血糖値が上がると(とくに炭水化物をたくさん

とると上昇する)、体内のグルコース合成に関係する遺伝子

のスイッチがオフになって、その生産をストップする。


逆に食べ物をとらないで血糖値が下がってくると、

同じ遺伝子のスイッチがオンになって、グルコースを

生産し始めるのです。・・・


それを自動的にコントロールしているのが、関連遺伝

のON/OFF機能なのです。” 

 

すでに、栄養化学ではホルモンとの関連でこうしたことが

説明されていたが科学が発達して、遺伝子が大きく

かかわっていることが明らかになったようだ。

 

これはどういうことかといえば、食べ物をとらない、

あるいは、とれない状態では体の自然維持力が働き、

グルコースが生産されるように、その役目の遺伝子のスイッチ

がONになる、


つまり、脳の大切な栄養分であるグルコースの濃度を

遺伝子の働きで常に一定に保っているというのだ。

 

ダイアットをして、体重を減らす努力をされた経験の

ある方は、すでにお気づきだと思うが、食事を一回

ぐらい抜いたからといって、あるいは、一日ほとんどゼリー

などの栄養分だけで固定食を食べないからといって

体重はすぐには急激に減少したりしない。


むしろ、こういう状態では、水を飲んだだけでも体重が

増えたり、奇妙な現象がみられたりした(私の場合)。

それもグルコースのみならず、体内で栄養のバランスをとる

働きがあるからだと思う。


さて、村上博士はこうした働きが遺伝子にあるから、

断食効果につながるという。

博士の意見がこうだ。

 

“細胞が栄養分を一時的に断たれたことが、眠っていた

遺伝子をONにすることに、つながったと考えられます。


若い時に結核にかかり、結核治療には栄養補給が一番

といわれて、ともかく栄養を'とる’ことに一生懸命になった。


だが、効果が一向にあらわれないで、いたときに

東洋医学に出会い、断食療法をすすめられて実践したところ、

つまり、栄養を‘断つ’ほうに治療法をかえてみた

ところ、結核が快方にむかった。・・・


関連する遺伝子の働きが断食によってONになった

可能性が大きいのです。”

 

もちろん、素人が行う断食の危険性を博士は認めているが、

少なくても“断食とまでいかなくても、食べ物の節制とか

腹八分目などは,明らかに健康や体調を整えるはたら

をします。”と述べている。

 

つまり、満たされた状況より、適度に不満足が残る程度

の状態が遺伝子をONにするからかもしれない。


遺伝子がONという意味は、眠っていた遺伝子の働き

(良い働きでも悪い働きでも)が活性化して働いていると

いうことだ。

 

私たちの細胞は、60兆ほどの数があり、その細胞の一つ

一つの核の中に、遺伝子が存在して、それが30億の遺伝子

情報を持っているという。

 

持っている情報のいずれにもなる‘可能性’を秘めているにも

かかわらず、各機関の細胞は、その器官の働きを全うする

遺伝子情報のみを使っているという。


たとえば、爪の細胞はそれの維持に関する働きがONに

なっている。

 

村上博士は研究の結果、“(遺伝子は)本来の役割以外の

可能性をみんな眠らせている”といい


‘目覚めている遺伝子(能力)はごく一部でそれ以外のたくさんの

可能性は潜在している“とも言う。


話を食事と遺伝子の話に、戻すと腹八分目の食事、

つまり、‘ほどよい、飢餓感’が体を健康に保つことが

遺伝子の働きからもわかってきた。


出来合いの食事(たとえば、コンビニなどのお弁当など)

の成分内容のレッテルをみると、ほとんど、防腐剤的

役目をする化学物質が含まれている。


これに対しては遺伝子がどのように対応しているかが

興味深い。

博士は次のように言う: 

 

“遺伝子を傷つけて、ON/OFF機能に小さくない

ダメージを与える化学的な環境要因。


その代表例が、環境汚染とともに大きな問題と

なっている環境ホルモンです。

環境ホルモンは対外でつくられる偽のホルモンで、

体内に入っても本来のホルモン作用を、かく乱する

ことから’内分泌・かく乱物質’と呼ばれています。


奇形の魚があらわれたり、オスがメス化した生物

が見つかっているのは、この環境ホルモンの影響に

よるものと考えられます。”

 

そうした奇形の一歩手前かもしれない魚を、私たちは

食卓にのせる。 

そして間接的に、私たちがその影響を受けているのかもしれない。

 

遺伝子をONにするプラス要素は物質的なことだけでは

ないと博士は言う。


環境要因以外に最も大きな影響を与えるもの、

それは心の持ちようだと博士は断言している。

たとえば、“楽観的にいきること。くよくよしないこと”だ。


沖縄の人の例をあげてこんな意見を博士は言う。

“沖縄などは、良い遺伝子をONにするのに適した生活環境

といえましょう。・・

そこに住む人はおしなべて明るく、風とおしが良く、

人懐っこい感じがします。・・・

 

沖縄の人たちが、‘今日は久しぶりにいっぱいやろう’

というときには、いったん自宅に帰ってゆっくり夜遅く

待ち合わせて、それから泡盛(あわもり)で酒宴が始まり、

朝まで飲み明かすことが多いと聞きました。


今、本土の人にはそんな余裕もエネルギーもないでしょう。

代わりにあるのはストレスぐらいです。”

 

沖縄の長寿率は日本一、その風土や生活環境が人間の

心性や性格といった心の環境をつくり、それが肉体上の

健康をつちかっていく、言い換えれば、

"心が体に影響を与えて、不老遺伝子のON/OFFに

つながっていくのです"と博士は、言葉を続ける:


“日本人は価値観の軸を少し、ブラジルや沖縄の

ほうへ移動すべきかもしれません。

あくせく、くよくよしないで、ゆっくりのんびり構える。


たとえ、GDP(国内総生産)がマイナス成長であろうが、

いいじゃないですか。


それよりもゆとりをもち、幸せそうにして、ストレスをためない、

ストレスをためても、プラス思考でそれを有効活用してしまう。


そういう心の持ち方、ものの考え方が遺伝子ONの

生き方を可能にするのです“

 大いに参考にしたい、意見だと思う。

 

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村上和雄1936年生まれ 筑波大学名誉教授。

78年筑波大学応用生物学化学系教授になり、

遺伝子の研究に取り組む。

83年高血圧の黒幕である酵素“レニン”の遺伝子解読に成功。

先端学際領域研究長を94年より務めた。96年日本学士院賞受賞。

 

引用)村上和雄著、サンマーク文庫 2009年“生命の暗号②”より。

 

 

 

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