遺伝子研究第一人者 村上和雄の“生命観
前置き)
ここに、2冊の文庫本がある。
タイトルは
“生命(いのち)の暗号”、①巻と②巻(*1)。
それぞれのカバーに書かれた紹介文が印象的だ。
①巻の表紙にかかる、帯にはこんなことが
書かれている。
“バイオテクノロジーの世界的権威が提言する
‘遺伝子オンの生き方’、
だれもが無限の可能性を開花できる。”
”遺伝子工学の世界的権威によるロング・
ベストセラー。
著者が、遺伝子暗号を読みごく中で気づいた、
微細な空間に膨大な化学の文字を書き込んだ
何ものかの存在。”
”著者は、畏敬をこめて、それを‘サムシング・
グレート’と呼んだ。
生命科学の現場から、人がもつ無限の可能性と眠れる
遺伝子を、オンにする生き方を説いた”。(以上帯から引用)
さらに、②巻の裏表紙にある紹介の帯には
次のとおり書かれている(以下引用):
“環境の変化や心の持ち方で、遺伝子がONになる
~ヘビースモーカーが肺がんにもならずに、
すんでいるのは、癌を退治する遺伝子が
ずっとON状態になっているからだと
考えられるのです。
そういう遺伝子のON/OFF機能は、病気や健康に
限ったことではなく、
走るのが遅いとか、カラオケが下手だとか、
記憶力や集中力に乏しいとか
仕事ができない といった、
いろいろな心と体の能力に関しても
同様にいえます。
したがって、眠っていた遺伝子をONにする
ことで
潜在能力を目覚めさせ、それまでできなかった
こともできるようになるし、とても自分には
無理と思えたことも可能になる・・
そういう可能性の発言に遺伝子は、大いに関与
しているのです。”(以上引用)
この帯に書かれている、文言を読んだだけで、
何やら、遺伝子と、自分変革の可能性の関係に
期待が湧いてくる。
この本の著者が村上和雄、筑波大学名誉教授
(*2)だ。
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遺伝子研究第一人者の村上和雄博士は、生命について
どう考えているのだろうか?
自然治癒力は生命力の発露だ。
村上博士は
”自然治癒力は遺伝子の働き”
からくるという。
それなら、その遺伝子そのものが“生命”か?
といえば
そうではない。
村上博士も認めるように、遺伝子レベルの解析
をしてみても、
生命そのものがこれだという結論は出ないという。
ところで、博士の考える、人体組織の最も大切な
器官は何か?
言葉を変えて言えば、何が、身体の司令塔になって、
その秩序や、正しい生理機能をつかさどっている
のだろうか?
単純に、頭の中の脳の機能が、その役目をしていると
これまで、私は、思っていた。
ところが、村上博士によると、
”人体は頭で統治されているのではなく、
遺伝子そのものが司令塔” だという。
次回から、そのあたりを探ってみたい・・・
そして遺伝子をONにするための 助言を
博士の本から考えてみたい。
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(*1)~サンマーク文庫“生命(いのち)の暗号”、
①巻と②巻
サンマーク出版 2009年、
(*2)村上和雄
1936年生まれ 筑波大学名誉教授。78年筑波大学
応用生物学化学系教授になり、遺伝子の研究に取り組む。
83年高血圧の黒幕である酵素“レニン”の遺伝子解読に成功。
先端学際領域研究長を94年より務めた。
96年日本学士院賞受賞。