自然治癒力セラピー協会=Spontaneous Healing Therapy Japan

自然治癒力を発揮させるために、心と体の関係を考えます。

私らしさと母らしさ~介護の中での歌の役割

2017年05月10日 | 介護と自然治癒力

 

音の力!弾(はじ)けることができました  2017・5・10

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母の 記事を載せるのは久しぶりだ。

母がグループホームにお世話になってから、一年半がたつ。 

下の写真は昨年暮れの クリスマス会での一コマ。 

向かって右側の写真、母と話している女性は、 筆者が入るときに親身に相談に

乗ってくださり、

 

 

                                ホーム長(入所当時)と母

この方がいらっしゃるのなら安心かもしれない~と最終的に決断するきっかけになった

前ホーム長だ。

 

母をホームに送る前の私は 他者が'はらはら'するような状態だったのかもしれない。 

先日、当時の母を担当してくださっていた民生委員の方に道でばったりお会いした。 

”あの時、報告書を書くのにも、貴方にお会いするのをためらっていました。

だいぶ、介護でお疲れと聞いていたので。

なので、タイミングをお聞きしようと、その前に、妹さんにお電話で、状況をお聞きした。

お姉さんの精神状態が悪いとお聞きしてましたし・・・でも、お会いしたら、思った以上に

普通に対応していただいて良かった・・” 

と 過去を回想して、少し、言いにくそうに、語った。

後日、妹と会ったとき、そのことを確かめてみたら、

”だって、本当にひどかったじゃない? ’今、間に今入らないほうが良いかもしれません’

と 確かに、その民生委員の方にお話ししたわよ” という。

私が’ひどい’という事は、母の認知のスイッチが入ったときが”ひどい”という意味でもあった。  

母は、デーサーヴィスを受けていたが、その施設のショートステー(夜のお泊り)は 

ベッドが空いていても断られた。

断れる理由は、’母の対応を十分にできるだけの職員さんがいない’ということだった。

言い換えれば、自分の世話を独占的にスタッフにしてほしいという母の願望から出る行動や

言葉の数々、それにこたえるのには、とても、夜間、15人の入居者に一人の職員という状況で

は”無理”というのがその理由だった。

母のそばに、寄り添い、悔いの無い介護を全うしたいと 私は、母が要介護になって以来、

5年間以上、そう願い続けていたから、どんなに苦しい状況でも、施設に母を送るという考えは

無かった。 

しかし、母が大腿骨骨折を 次々と、左右 骨折したときから、認知と幻覚症状、が輪をかけて

進んでいくとともに、ともに傍らで徘徊する母を見守るために、自分自身の睡眠が数か月間、

取れないときが続いた。

妹が民生委員の方に電話で私の状況を上記 のように伝えたのはその頃だった。

 

娘さんの様子がたいへんそうで見るに見かねて・・相談をしに来ました。”

ケアマネのFさんがそれから数か月後訪れて下さった。

Fさんが語るには、母の夜のお泊りを断ったその施設の担当者Sさんが 専門家が手を焼く

母の認知介護状況をFさんに伝え、

’須田さんが1人で母の介護を夜間抱える段階ではなくなった”と漏らしていたので、

心配になったという。

同時に、Sさんはすでに、上の写真、Uホーム長に母の受け入れ可能かを打診していて

可能であるという返答を得ていたということだった。

そのような背景があったので、ケアマネFさんは、弱気で涙を流して感情的になった私に、

ぜひ、ホームの見学だけでも。。家族共倒れにならないうちに” と私に促した。 

そこで、夫とともに、勧められるまま、すでに伏線が敷かれていた、Kグループホームの

Uホーム長(当時)を尋ねることにした。

Uホーム長は、私の愚痴とも相談とも言えない話を 笑顔で聞きながら、

”皆さん、家族で見れるところまでは見たいとおっしゃるのですよ。 

でも、家族が認知の家族を見るということは、想像以上に負担がかかっている現実です。 

あなたも精神的に気丈夫でいても、体がいつか参るかもしれませんよ。”

と こちらの現状を理解しつつ

罪意識を持つご家族が多いのも事実です。 

ホームに大切な親を入れるという自分を赦せないという意識は多くの方に、

共通していますよ。” 

とも言われ こちらの心情に理解を示してくださった。

 

葛藤のすえ、母をそれから数か月後、Uホーム長の元で運営されている、グループホームに

お願いする決心をした。

今日、この写真(その後のクリスマス会)を載せたのは 百聞は一見にしかず、

母の笑顔がとても精神的に安定してきたことを物語っているようだから。

Uホーム長の信念は隅々までいきわたっていたので、Kホームの職員の方たちの心配りや

美味しいお食事、献身的なお世話は 母の精神的安定につながる大きな要因だったと思う。

 

そのほかに、たぶん、私なりの見解で恐縮だが、”母と私の絆”のなかでこその理由が

あるように思う。

それは、ある意味 ”私自身が自分らしく戻るということが、関係のないようだが、

母の精神安定に一役かっているのではないかということ。

母と 2キロほど離れて暮していても、自分らしく生き生きすることが、母の’今’にも

影響しているような気がしてならない。

親子はどんなに離れていても、たとえ、あの世とこの世の隔たりがあるほどの

距離だとしても、結局、直線的につながりあっていると信じているので、

今の私の心持は母の魂に直結していると感じている。

 

介護する側が精神的身体的にある程度ゆとりを持てる環境を整備することは 

被介護人のために必要だと今になれば冷静に思う。

人との関係、愛と憎しみが交差する中、愛で相手を想えば、その愛はすぐに伝わるし、

憎しみで思えばそれもまた伝わるだろう。 

ましてや近親者の介護中ではその伝達は即効だろう。

 

愛している人を、一瞬でも、感情の波の中で、憎しみのまなざしで見たことはほんの

一瞬でも無かったと、言えるだろうか?

それが介護となった場合、たとえば、老々介護の場合、介護する方も何らかの身心不調和を

もって無理を押して、介護を続けるうちに、’殺傷沙汰事件’が起きるケースは 時々ニュースと

なる。

介護中、思いがけない瞬間が来る。 愛情が、憎しみ~に変わってしまった瞬間だ。

それは、介護で疲れて解放されて休みたい、少し離れたいという自己防衛が嵩じて

相手の存在を疎ましく思う時かもしれない。

それまで押し殺されていた感情が飽和状態になって、炸裂する瞬間なのかもしれない。 

 

介護で慢性的に疲れてくると、こうした尋常でない感情が起きても、スルーしてしまう。

自分の休息につながる、必要な時間、そして、自分を取り戻し’自分らしくなる’ 

いうことすらその時は、’罪意識’と被さっていたから、持つことすら考えなかった。

その背景にはその原因となる、小体験が重なっていた。

 

母と同居していたとき、まだ、ずっと、体が動き、元気だったころ、少し

息抜きしたいと思って外出したところに、母から携帯電話がかかってきた。

イライラした声で、

”どこにいるの? 80歳過ぎたババを 一人残して一体どうしようというの!” 

などと電話口で罵倒されるように言われると、私の時間を私的に使うことに対する

罪意識は無意識に助長された。

具体的には、インドから帰国しての7年間は、一番自分らしくなれる 音楽~

シタール(インド楽器)に触ることもできず、母独りでは生活が難しくなった約一年間は、

母に全神経が集中している日が続き、介護関係以外の外出 食事時前の買い物以外は

無くなった。

当然、電車でどこかへ出かけることも億劫になり、学生時代の仲間からの例年の新年会や、

集いはすべてお断りしていた。 

そんな折り、始めた習い事が一つだけあった。 

月に一度の半時間のヴォイストレーニング。

母がデーケアに通っている昼間、ひと月にほんの半時間のレッスンだったが 歌を練習する時は

自分自身に戻れるようで、心の大きな支えとなった。

 

さて、先日、習い始めて、2年半目の、5月5日、その発表会が某市民会館で行われた。

10何年ぶりに美容院に行き、髪をアップにしてもらい、蝶々夫人のアリア 

”ある晴れた日に” を ご披露させていただいた。

着物をお借りして、蝶々夫人の素直で切なく、一途な愛に生きる女性の心を、

黒いドレスで ワイングラス片手に持ち、”椿姫の乾杯” の一コマも全員で、

歌わせていただいた。

お目汚しの写真で恐縮・・だが、この日をもって、自分自身に帰ったなあという

実感である。

 

母も母らしく、楽しく、穏やかに、生きていてほしい。 母の存在は大きいのだ。

私自身が生き生きすることが、母の魂が喜んでくれているのだろうと、

やっと最近感じられるようになった気がする。

 

 

 

ほら、見て!あの人の船が帰ってきた!”・・歌詞

 

人生短い、今に乾杯”、・・・歌詞

 

 

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