ルフェーブル大司教にはコベス（Kobès）司教と同じ古い座右の銘があった。毎年、自分の神学校ごとに、10名から25名の新しい司祭たちを生み出していた。これらの神学校は、エコン、アルマダ【いずれコネチカット州のリッジフィールド、その次にミネソタ州のウィノナへと移転する】、1978年に開校したヴァイスバット【後に最も深いババリアのツァイツコーフェンに移転する】、ブエノス・アイレス【この神学校は1979年に開校し、1982年に大司教は最初の南米の司祭2名をそこで叙階した。間もなくこの神学校はラ・レハに移転したが、当初ラ・レハで唯一神学生の収容に利用出来たのは、波型のトタン板で出来た倉庫であった。】にあった。他の神学校として、1979年から1982年までアルバノ、1986年以降にはフラヴィニー、さらにオーストラリアの聖十字架神学校は、ただ霊性学年度である一年と哲学の授業を提供するだけである。
新兵なる司祭たちと物理的手段
「着いたばかりの軍勢」により、管区長たちは、信徒らの必要に応じて適当な場所に新しい支部修道院や聖堂を創立し、管区管轄下の国を小区画に分けて司祭らを配置することが可能になった。大司教は、建物の購入に青信号を出す前には、何時もその土地に行って、建築家あるいは彼の友人であるスイス人建築業者と共にその建物の地下から屋根裏部屋までを見学する事を望んだ。建物の購入には、時に、起こりうる妨害それもカトリック教会側からの妨害が原因で、かなりの手際よさが求められた。
同様に、管区本部に適した用地の選択は、大司教が入念に調べて決定した。こうしてオラニエ神父は、長上の命令により、自分の好んだポワンテ（Pointet）を離れて、パリ近郊にあり、言うまでもなくフランスの中央に位置するシュレンに移らなければならなかった。大司教は、かつてアフリカでそうだったように、そこの建物が必要な物を完備しているように取り計らった。
「贅沢な家は欲しくありませんが、司祭達が有効な使徒職を行えるように最低限の設備を備える必要はあります。」
彼は聖ピオ十世会の経理長を通じて、修道院と事業の経済的かつ法的な自立ができるように注意を払った。何故ならこれだけが “唯一、全ての真理を断言することを保証してくれる”霊的自立の条件であるからだ 。法律上の相談者達は、献金および遺産の合法的な受領の仕方を説明してくれた。
一現実主義者として、大司教は毎年二回、簡潔な「友人と恩人の皆様への手紙」を書いた。そこで選り抜きの写真を織り交ぜて、どの様な具合に多くの事業が進展しているかを語った。彼は神学生たちにこう言った。
「この手紙は私達に日用の糧を与えてくれます。さらに、私達は存在していても、新鮮な空気と水だけで生きているのではないという事を、この手紙は私達の友人の皆さんに思い出させてくれるのです。ですから、皆さんはこの手紙を封筒に入れなければいけません！」
大多数の寄贈者たちは、定期的に20から30フランの献金を下さる慎ましい方々だった。毎月、ある貧しい女性が、アメリカ合衆国から3ドルの小切手を送付してくれていた。経理係は大司教に尋ねた。
「彼女には6ヵ月ごとに一括して送ってもらった方がよろしくはないでしょうか？私は毎回手数料として2ドルを支払っています。」
大司教は答えて言った。「いいえ、福音に出てくるあの寡婦を考えて下さい。」
大司教は自分の息子たちにこう勧めた。「質素であって下さい。恩人の皆さんが私達を支援するために自分達から削り取ったものを私達が無駄遣いしない限り、聖ヨゼフは私達を助けて下さいます。」 しかし、他方で彼は、「お金を蓄えないで下さい。与えられた物は使って下さい。」と促した。
「特に、聖主を嘘つきにしないで下さい。『先ず天主の国とその正義を求めよ。そうすれば、それらのものも加えて与えられる。【聖マテオ6章3３節】』というのは、もしもあなたたちがお金を捜し求めるとするならば、お金の方があなたたちから逃げて行くからです。使徒的であってください。そうすれば何時も聖ヨゼフは私たちに物惜しみなどしません。」
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