頑張りすぎの「お父さん」へ

月１～２回受診されている５０代の「お父さん」

昨年の暮れから運動時の「胸の痛み」を訴えるようになりました。

この方のお仕事は、常に周りに気を配り、時間も不規則。

肉体的にも精神的にも大変なお仕事です。


家族のために、一心不乱に働いて、「俺がやらなきゃ誰がやる」って使命感に燃えて

自分をなげうって頑張ってる。

「ダメになったら、オサラバするだけ（笑）」

なんて笑っていますが、

「お父さん」、貴方の換えはいないんですよ。

と言いたい。

「親孝行」する前に逝ってしまっては「子不幸」というものです。





暮れの時点で、

「労作性狭心症と言う心筋梗塞の前段階かもしれません。

病院で調べてもらってください」

と、検査を進めていました。

今日は「また胸が痛んだ」と来院。

今はかかり付けの内科で貰った、狭心発作を抑える「ニトロ舌下錠」を飲んだので

納まっているという。

検査は受けておらず、今日まで貰った薬も飲まないで我慢していたんだそうです。

好きだったタバコも止めていると言うのですから、

本人も「ただごとではない」と気付いているようす。

昨年から、繰り返し言っているのですが

・発作の間隔が縮まってくる

・一回の発作が長くなる

・発作時の痛みが強く、脂汗をともなう

ようなら、迷わず病院直行。

薬でもコントロールできない発作なら、即１１９番。

と、もう一度念を押させていただきました。


治療は主に胸椎の１番と２番

この方は特に２番目の胸椎の伸展（後ろに反る動き）と右への側屈

方向の動きが失われていました。


胸椎の前には交感神経の束が縦に二筋ならんでおり、

内臓に枝を送っています。

胸椎の動きが悪いと、その胸椎の高さに対応した交感神経の繊維が、

刺激を受けて興奮してしまいます。

交感神経の行き先が消化管であれば、消化管の働きは押さえ込まれ

心臓などの循環器であれば、活動が亢進します。

心臓へは第１～８胸椎の高さの交感神経の支配を受けていますが、

特に胸椎１～２番の影響が強いのが特徴です。

また、右側の交感神経が興奮すると「頻脈」に、

左では「不正脈」になる傾向がつよいそうです。


以上のような理由で、心臓への負担を軽くするために、

この部分の治療に重点を置きました。


でも、根本的解決ではない事を「強く」伝えたのは言うまでもありません。　

本人もすぐに病院に行くと決心を固めたようです。




なぁに、ショゲるこたぁないよ「お父さん」！

この機会に、いままで溜め込んだ「無理」のすす払いして

あと５０年ほどバリバリ働きましょうよ!!