今日は目の正月をしてきました。
お友だちのうちで、長い間かけて集めてきた藍染め木綿の古布を見せてもらったのです。
衣装ケースいっぱいの美しい布。 ざっと200枚ありました。 全部並べて写真を撮らせてもらいました。
比較的新しいのは黒ぐろと、使いこなし洗いざらしたのは色あせて柔らかくそれがまたいい味になっていました。 中にはかぎ裂きを繕ったのや、布を当てたのも。
昔の人は、浴衣など着古したのを赤ちゃんのおしめにしていたという話を聞いたことがありますが、着古したものは本当に肌触りも良く、昔の人が最期まで大切に活用していたということが分かります。
菊模様。 これらはすべて型染めです。 渋紙を切り抜いて、抜いたところに糊を置き藍で染めてあります。糊を置いたところが防染されて白く残るのです。 この型紙の細かいこと! 正確なこと!
同じようなモチーフでもどこか変化をつけて、違ったものに仕上げています。 職人の心意気でしょうか。
牡丹。 白地は大胆に、紺地は繊細に。
友禅などの華やかな絹物とはちがう、素朴さの残るこれらの反物は、誰がどのようなときに着たのだろうか、想像がふくらみます。
めでたいものづくし。 鶴亀はセットで、それに熨斗や松竹梅を組み合わせています。
さくらや亀甲模様など。 今でも帯などに使われている模様です。
左下は、海松(ミル=海草の一種)のモチーフ。 こんなものまで模様にしてしまうんですね。
これらの布はすべて買ったときのままおいてありました。 もったいなくてはさみを入れる気にならないと彼女は言います。 かつて、仕事に疲れたときは、この布をながめて心を癒したのだとか。 分かる気がしました。
すでに何かに使われて残った小さな切れ端です。 こんな小さな状態で売られていたのだそうです。 これも大切に保存してありました。
布団に使われていた絵絣は切らずにのれんに仕立ててありました。
梅と幾何学模様です。
ほのかにただよう糊の匂い。 わたしは祖母が織っていた木綿の布団を思い出しました。 祖母は子どもの頃から機を織っていて、そのためかどうか分かりませんがすっかり背中が丸くなっていました。 それでもいろいろな木綿糸を組み合わせて縞模様やごばんの模様の布を織って布団に仕立てていました。 わたしは小さい頃、退屈になると祖母の手元を眺めていたのです。 できたての布はちょっとごわごわとして、ふっと糊の匂いがしたものです。
一反の布が織り上がるまでずいぶん日数がかかったと思うのですが、そのころはもちろん機織りが根気の要る、単調な作業だなどとは考えても見ませんでした。 綿から糸を繰り、布に織り上げ、染め上げるまでどんなにたくさんの工程を踏み、時間をかけてきたか、今なら分かります。 だからこそ最後の最後まで大切に使い切ったのでしょう。
彼女はパッチワークの袋物なども作っています。
これは新しい布だと思うのですが、小さな端切れをつなぎ合わせて作ったバッグ。 全部手縫いです。 裏にはかわいいうさぎさん。 うさぎの周りを細かく縫って立体感が出るようにしています。 白い丸い縫い取りはお友だちのアイデアだそうです。
そのほか、自分が昔着ていたブラウスなども、大切につなぎ合わせ、いろいろなバッグを作っていました。 袋の内側は、お母さんや自分のブラウスやワンピースだった思い出の布が使われています。 わたしも根気のいる作業をしているのではありますが、ひたすら布をつないでいく彼女の粘りには脱帽です。
現代にも通用する美しい染めの布、この模様を革で染めたら楽しいのではないだろうか、先日買った酒袋と組み合わせてもおもしろいだろうなあ。 わたしの頭の中でまた思いつきが増えました。 次々と作りたい物はあるのですが、手と時間とが追いつきません。 実現するのはさて、いつになることやら。
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