形式こそ重要なんだ・・・
某大学の先生の論文を拝読していた。福祉系の大学の先生の論文である。修士課程や博士課程の論文指導で有名な方である。結論から云って非常に参考になった。
その内容はいくつかあるが、一番は「形式第一 内容第二」という点である。形式を軽視してはならないということであった。型を知らなくちゃならんのだなぁ。
二番目は、「積み重ね、プロセス重視」ということである。論文は積み重ねだから、前回の部分に加筆訂正したら、文章の色を変えて記録しておく。
愚生は、その反対で、独創性を出そうと出そうとばかりしていた。しかも、現場で実践ばかりやっていたから、実践面ではいくらでも実践例を出せるわけだ。しかしである。それは有効期限5年だとのことである。看護師のことを書いておられたが、確かに優秀な看護師ほど、実践で追いまくられて論文執筆どころではないだろう。患者の記録でも、単語で書くしかないほど多忙である。メモ程度しかできない。だからじっくり論文を書いている時間が無い。
特に社会人院生は、仕事をしながら学んでいる。だから経験はたくさんある。しかし、ここに落とし穴がある。愚生も一緒だが、社会人院生は「語れるが書けない」「自己の経験、体験に固執する」「テーマが広すぎる」という弱点があるという。
だから、社会人院生は、「プライドを捨て、文章・論文書き方の基本図書をきちんと読む」「自己の経験を相対化して、最低限『結論が先にありき』をやめること」「確信は、嘘よりも危険な真理の敵」というご指摘はなるほどである。
仕事で日常的に文章を書いてはいるが、それが逆に研究論文を阻害する職種というご指摘もなかなか参考になる。一つは、看護師である。非常に多忙で、夜勤もあるし、休まる暇もない。さらに看護記録は単語の羅列になる。正規の文章執筆の時間がない。第二には公務員。長年個性を出さない文章ばかり書いてきている。さらに批判を避けるために曖昧なお役所文章になっている。これもまた愚生の反省材料である。
このあたりで、愚生は自分にはたと思い当たることがたくさんあった。愚生もまた実践主体の、お役所的事なかれ文章ばかり書いてきたからだ。今は違うけどね。
他にも大変参考になった。
① 唯物論的に書け。言葉を上滑りさせるな。
② 日常的に考えていると、自然にわかる
③ 学会発表前には、予行演習をやれ。原稿は1分あたり、300字
④ 想定問答を20は用意せよ
⑤ 学会発表後すぐ学会誌に投稿すること
⑥ 院生同士で相互チェックを
⑦ 知的生産の技術や、論文の書き方の本の独習
⑧ 添削されることは、言葉に関する感覚の鋭さを育成する
⑨ 一切のタブーにとらわれず、事実と本音を書くこと
⑩ 情熱のみが、理性を鋭くする。青春の夢に忠実であれ。
⑪ 書くことも戦いだ、継続こそ力
⑫ 二重投稿はしないこと
⑬ 文献は必ず現物をチェックすること 孫引きはしないこと
⑭ 調査対象の了解を得ること
以上である。
なかなか難しいけどねぇ。ふううううううう。