しみじみとした情感(映画と卒業式)
藤沢周平の「蝉しぐれ」は、愚生にとっては特別に思い入れのあるとても好きな作品である。ラジオの名作劇場でやっていたのを、今はあっちの世界に行ってしまった愛犬と散...
今日は、現役時代に勤務させていただいていた某高校の卒業式に呼んでいただいたので、出かけたのである。もうこれで生涯最後であろうから、快く出かけた。最初、校門を入って野球部の諸君が駐車場まで案内してくださった。後で先生方にお聞きしたら、一年生だということであった。それでは愚生のことなぞ知る余地もない。ご苦労様です、ご苦労様ですと声をかけて車を止めさせていただいた。
それから、現在の校長先生にご挨拶をして、四方山のお話をうかがい、就職のこと、進学のこと、学校生活のこと等々を教えていただいた。なかなかの活躍ぶりである。すばらしい成果を出しておられる。
また、新校舎のことについても、いろいろと事務長様から教えていただいた。
そしていよいよ卒業式会場に案内された。保護者の方々でも、教え子がけっこうおられるので、軽い会釈をしながら、登壇させていただいた。今度は見る位置が違っている。
すばらしい式の進行ぶりに感心しながら、式が終了した。
そして、担任の先生が本当に最後の卒業生の引率をする。**先生ありがとうというカードを掲げたクラスもあった。またしみじみと静寂に謙虚な礼をして去っていったクラスもあった。さらに、回れ右をして保護者席に感謝の礼をしたクラスもあった。
情感の大切さを、卒業生に教えていただいたような気がしていた。ここまで成長したということである。入学した時は愚生が入学許可をさせていただいた生徒たちであった。謙虚に、どこまでも真摯に学んだ結果が、今日の日であった。素直に、祝する気持ちになった。
もう会うこともないだろう。彼ら・彼女らとは。
しみじみとした情感にあふれる生涯を送っていただきたいと思うばかりである。
おめでとう。