水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

十三人の刺客

2010年10月11日 | 演奏会・映画など
 稲垣くん好演。役所さん、松方さん、それぞれ自分のペースで好演。
 まわりがどうあれ、自分の仕事は100パーやりますよ的な。
 作品全体としては「少年ジャンプ」の漫画ぐらいかなという感じだった。
 切腹シーンで肉を断つ音がリアルに入るのだが、グチョリとか擬音が見える感じがする。
 その他台詞もカット割りも。
 漫画と映画はジャンルはちがうと思うのだが。小説と映画がちがうように。
 そう考えてみろと「ヤッターマン」「ゼブラシティ」とまったく同じ作風で、ギャグセンスも、テーマのレベルも同程度に設定されている。
 ラーメンはそれほどでもないけど、チャーハンだけはめっぽうおいしいというお店は普通ない。
 「ゼブラシティ」はまずかったけど、これは期待できるかなと思ってみたら、やはりこのお店は自分の舌にはあわなかったなというのが正直な感想だ。
 外国の映画祭で賞が与えられなかったことを嘆く映画評を新聞でみかけたが、まっとうな判断だと思う。少なくとも大人がみれば。
 稲垣くんの狂気あふるる殿様役は好演。
 ただ、その狂気じたいも、普通だ(狂気がふつうっておかしいかな?)。
 お膳の上に、食べ物をぶちまけてぐちゃぐちゃにして食べるなんてのは、いかにも狂ったふうの様子を表したいのだろうが、子供でも思いつくような描き方だ。
 人の殺し方にしてもしかり。
 だから、それほど鬼気迫るものにはなっていない。
 豊かな創造力をもつ監督さんだったら、稲垣メンバーはもっと活きたはずだ。
 終わりの方のシーンで自分が死にそうになったとたん「怖い」とか言わせるのも、もったいない。
 なんか全体にもったいないなあ。
 こんなにいい役者さん達がいて、ぞんぶんに撮っていいという環境がおそらくあって、それでいて、へんな悪ふざけなシーンをはさんだりするセンスというか、志にちょっと違和感をおぼえたけど、相性の問題かもしれない。
 こういうのがいいという人にはいい作品なのだろう。
 
コメント
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