水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

マインドセット

2021年10月01日 | 学年だよりなど
1学年だより「マインドセット」


 今学期の終わりには、文系・理系の決定という大切な選択をする時期を迎える。
 漠然と目の前の勉強をするだけでなく、将来を見据えて何をしたいのを考える気持ちも必要だ。
 10年後の自分の姿を想像するのは難しい。10年後の世の中をイメージするのは、もっと難しい。たとえば10年前に、知識人とよばれる人たちが何を述べていたかを検証すれば、なるほど「頭がいい」とされている人も、未来予測など全くできないことに気づくだろう。
 将来像は、あくまでもその時点の自分の持つ枠組みでしか導けないからだ。
 同じように、将来の自分を想像するのは難しいのは、現状の自分をもとに考えるからだろう。
 実際には、これからの過ごし方次第で、将来の自分は想定の範囲外にまで成長できる。
 キミの可能性はどんどん大きくなっていく……、と言うと、「いやいや、やはり限界はあるでしょう?」という声が聞こえてきそうだ。
 そうなのかもしれない。そして、その人の持つ「限界」と思える部分まで自分の力を発揮できたならば、十分に幸せだということになるだろう。
 「持って生まれた資質を十分に発揮させるよう努力しよう」という考えは、正しいようにみえるけれど、それは「硬直マインドセット」だと、スタンフォード大学のドゥエック教授は言う。


~ 能力を固定したものと思っている人は、しくじってはならないという切迫感にいつも駆られている。そして成功すると、誇らしさが優越感にまで膨れ上がる。なぜなら成功するのは、固定的な能力が人より優れている証拠だからである。 ~


 能力は固定的だと考える人は、それを証明しようと努力をする。でも、その能力が足りないことが明らかになることを恐れ、失敗を極端に恐れる。自分の能力を信じたいがゆえに、逆にビクビクしてしまうのだ。逆の心の持ちようもある。


~ 初めに配られた手札だけでプレイしなくてはいけないと思えば、本当は10のワンペアしかなくても、ロイヤルフラッシュがあるかのごとく自分にも他人にも思いこませたくなる。けれども、それを元にして、これからどんどん手札を強くしていけばよいと考えてみたらどうだろう。それこそが、しなやかな心の持ち方、「しなやかマインドセット =growth mindset」である。その根底にあるのは、人間の基本的資質は努力しだいで伸ばすことができるという信念だ。
(キャロル・S・ドゥエック『マインドセット「やればできる」の研究』草思社) ~


 こう考えることで、学力や運動能力を高めることが、最終目的ではなくなる。
 自分の資質や才能自体を大きくしていくことが、今やっていることの本当の意味ということだ。
 成功を求めるのか、成長を求めるのかの違いとも言える。
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