水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

マインドセット(2)

2021年10月07日 | 学年だよりなど
1学年だより「マインドセット(2)」


 頭の良さは生まれつきだと考えることを「硬直マインドセット」、努力次第で頭は良くなると思うことを「しなやかマインドセット」と、ドゥエック教授は名付ける。
 教授は、中学校入学直前の小学6年生の子どもたちを対象にして、このマインドセットと成績の関係を調査した。
 頭の良さは生まれつきだと思うか、努力次第で頭は良くなると思っているかを子ども達から聞き出して、二つのグループに分ける。その後の2年間の成績を追跡調査していくという研究だ。


~ 中学入学の時点で両群の成績に差はなかった。つまり、小学校の環境では成績にも試験の点数にも違いはなかったのに、中学で難しい問題にぶつかったとたんに、両群の成績に差が現れはじめたのだ。 ~


 成績が落ちていったのは、「頭の良さは生まれつきだ」と思うグループ、つまり硬直マインドセットグループの方だ。このグループには、成績低下の理由を自分の能力のせいにする生徒が多かった。先生の教え方が悪いからと責任転嫁する生徒も少なくなかった。


~ それに対し、しなやかマインドセットの生徒たちは、同じような不安に苛まれながらも、全力で課題と向き合った。もうダメかと思うときもあったが、やるべきことから逃げずに勉強に励んだのだ。
 (キャロル・S・ドゥエック『マインドセット「やればできる」の研究』草思社) ~


 小学校から中学校に上がり、それまで経験したことのない難しめの課題にであったときに、差がついていく。それは高校、大学と進むにつれて、より顕著になっていく。
 差がつく原因は、心の持ちようなのだ。
 この研究の成果は、しかし、私達教員にとって決して意外なものではない。
 ドゥエック教授は、歴史に残る偉業を成し遂げた人々の例をいくつもあげる。
 ダーウィンやトルストイも、幼少時には凡庸だったけど、努力した……という例を。
 歴史上の偉人を例を見なくても、長く教員をやっていれば、マインドセットのおかげで成功したのかと思われる例をいくらでも思い起こせる。
 仮に高校入学時の学力や身体能力のままで勝負するなら、なかなか他校さんに及びそうにないと思われる分野もある。
 しかし現実には、スポーツ推薦の部員が多い学校さんに、初心者で始めたメンバーが多い本校が勝つ場合もあった。中学の先生に話すとびっくりされるような大学に合格する先輩もたくさんいる。
 もちろん逆の例もある。類い希な能力があるはずなのに、いま一つ伸びなかった例が。
 要は「心の持ちよう」であり、「努力すれば伸びる」と信じていれば、結果はついてくるのだ。
 「やればできる」に学問的裏付けがあることが、わかってもらえただろうか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする