水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

「動的平衡(福岡伸一)」5 第三段落後半

2020年11月12日 | 国語のお勉強(評論)
27 ここで私たちは改めて「生命とは何か。」という問いに答えることができる。「生命とは動的な平衡状態にあるシステムである。」という回答である。
28 そして、ここにはもう一つの重要な啓示がある。それは可変的でサスティナブルを特徴とする生命というシステムは、その物質的構造基盤、つまり構成分子そのものに依存しているのではなく、その流れがもたらす「効果」であるということだ。〈 生命現象とは構造ではなく「効果」なのである 〉。
29 サスティナブルであることを考えるとき、これは多くのことを示唆してくれる。サスティナブルなものは常に動いている。その動きは「流れ」、もしくは環境との大循環の輪の中にある。サスティナブルは流れながらも、環境との間に一定の平衡状態を保っている。
30 一輪車に乗ってバランスを保つときのように、むしろ小刻みに動いているからこそ、平衡を維持できるのだ。サスティナブルは、動きながら常に分解と再生を繰り返し、自分を作り替えている。それゆえに環境の変化に適応でき、また自分の傷を癒すことができる。
31 このように考えると、〈 サスティナブルであること 〉とは、何かを物質的・制度的に保存したり、死守したりすることではないのがおのずと知れる。
32 サスティナブルなものは、一見、不変のように見えて、実は常に動きながら平衡を保ち、かつわずかながら変化し続けている。その軌跡と運動のあり方を、ずっと後になって「進化」と呼べることに、私たちは気づくのだ。


生命 … 動的な平衡状態にあるシステム
      ↓
    可変的でサスティナブルなシステム
      ∥
    その流れがもたらす「効果」
      ↓
    生命現象

 サスティナブルなもの
    … 常に動いている・環境との大循環の輪の中
     動きながら常に分解と再生を繰り返し自分を作り替えている
      ∥
 サスティナブルなもの……常に動きながら平衡を保ち、わずかながら変化し続けている
      ∥
    「進化」


「生命現象とは構造ではなく『効果』なのである」について

Q25「生命現象」という「効果」をもたらすものは何か。5字で答えよ。
A25 分子の流れ

Q26 どういうことか(80字以内)。

A26生命現象は、6
  特定の分子構造から生み出されるものではなく、22
  環境における永続的な分子の流れが、17
  一時的に平衡状態を保った結果としてもたらされる 23
  ものであるということ。11 

Q27「サスティナブルであること」によって、具体的にどのようなよい点があるのか。30字以内で抜き出せ。
A27 環境の変化に適応でき、また自分の傷を癒すことができる。
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「動的平衡(福岡伸一)」4 第三段落前半

2020年11月11日 | 国語のお勉強(評論)
23 生体を構成している分子は、すべて高速で分解され、食物として摂取した分子と置き換えられている。身体のあらゆる組織や細胞の中身はこうして常に作り変えられ、更新され続けているのである。
24 だから、〈 私たちの身体は分子的な実体としては、数か月前の自分とは全く別物になっている 〉。分子は環境からやってきて、一時、〈 淀みとしての私たち 〉を作り出し、次の瞬間にはまた環境へと解き放たれていく。
25 つまり、環境は常に私たちの身体の中を通り抜けている。いや「通り抜ける」という表現も正確ではない。なぜなら、そこには分子が「通り過ぎる」べき容れ物があったわけではなく、ここで容れ物と呼んでいる私たちの身体自体も「通り過ぎつつある」〈 分子が、一時的に形作っている 〉にすぎないからである。
26 つまり、〈 そこ 〉にあるのは、流れそのものでしかない。その流れの中で、私たちの身体は変わりつつ、かろうじて一定の状態を保っている。その流れ自体が「生きている」ということなのである。シェーンハイマーは、この生命の特異的なありように〈 「動的な平衡」というすてきな名前 〉をつけた。

Q20「私たちの身体は分子的な実体としては、数か月前の自分とは全く別物になっている」といえるのはなぜか。本文の言葉を用いて40字以内で答えよ。
A20 身体のあらゆる組織や細胞の中身は常に作り変えられ、更新され続けているから。

Q21「淀みとしての私たち」とはどういうことを表しているのか(60字以内)。
A21 私たちの身体は、環境における分子の流れが一時的に形を作り、
   かろうじて一定の状態を保っているものにすぎないということ。

Q22「分子が、一時的に形作っている」ものは何か。9文字で抜き出して答えよ。
A22 淀みとしての私たち

Q23「そこ」とはどこか。2字で記せ。
A23 身体

Q24「『動的な平衡』というすてきな名前をつけた」とあるが、どういうところが「すてき」なのか。
A24 一見パラドキシカルな名前だが、生命の様相を実によく言い表していること。

 生体を構成する分子
    ↓  置き換わる
 食物として摂取した分子
    ∥
 身体の組織や細胞 … 常に更新され続ける
    ↓
 分子的身体……数か月前の自分とは全く別物

  分子 …… 環境 → 淀みとしての私たち → 環境

 身体……分子が一時的に形作っているもの
    ∥
 流れそのもの
    ∥
 「生きている」
    ∥
生命の特異的なありよう→「動的な平衡」
           ……動いているけどとまっている→「すてき」
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スタディーズハイ

2020年11月10日 | 学年だよりなど
3学年だより「スタディーズハイ」


 №57で、和田秀樹先生の「秋から伸びる」生徒像を紹介した。


~ 1 合格最低点まで「あと何点?」が見えている
  2 学校に頼りきらず、やるべき勉強を自分で考える
  3 苦手に執着せず、伸びる部分を優先し、得意に磨きをかける
  4 模試の失点を細かく分析して受験対策に役立てる
  5 本番のリハーサルとシミュレーションを十分にやっている
  6 頑張りを支える生活習慣が確立している
  7 不安な気持ちを勉強の原動力に転化できる          ~


 この7項目を意識して取り組んでいけば、「伸びる」。
 実は、「結果を出す」生徒像というものも、私たち教員には見えている。
 科学的なエビデンスは提示できないのだが、長年この仕事をしている経験則からほぼ例外がないと思える。こんな人だ。


~ 1 休まない  2 笑顔  3 消しゴムのかすを捨てる ~


 受験勉強への取り組みが本気になればなるほど、自分に与えられた時間と現状とのギャップに不安をおぼえることも多くなるだろう。
 それは受験生として、人間としてまったく「健全」な姿だ。
 先が見えない「不安」さえ、自分がどうなるか楽しみな「わくわく感」に変えてしまえるメンタルに持ち込める人は強い。
 もちろん、それを支える努力は必要だ。
 やるべきことから目をそむけることなく努力を積み重ねていれば、きっとうまくいくはずだとの「根拠無き自信」が生まれる。
 ランナーズハイのように、脳内が高揚している状態になる。
 そういう状態の人に「調子はどう?」と尋ねると、「なかなか大変です」「時間が足りません」と言いながらも、不敵な笑みをうかべている。もしくはさわやかな笑顔をみせてくれる。
 脳が活性化しているからだ。
 メンタルを鍛えるために最も有効なのは、学校に来ることだ。これからますます寒くなり、「念のため今日は家にいようか」という誘惑に打ち勝つ日々の積み重ねが自分を変えていく。
 学校に来てからの勉強には、クラスの仲間やわれわれも多かれ少なかれ手を貸しているいるが、来るのだけは自分の力だからだ。
 使った教室で、自分の出した消しゴムのかすをそのままにして去るか、自分でゴミ箱に捨てられるかは、心がどれくらい整っているかを表す。勉強にかぎらないが、最後はメンタルが決める。
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ここではないどこかへ(2)

2020年11月05日 | 学年だよりなど
  3学年だより「ここではないどこかへ(2)」


 木村達哉(キムタツ)先生は、自分の高校時代のことも振り返りながら、以前こう述べていた。


~  … 英語や国語に関しては、英単語も古文単語もかなり正確に暗記していましたので、どんなに出題形式を変えられたとしても対応することができました。それを考えると、受験レベルの物理や化学などもきっと同じなんでしょうね。生徒たちには「基本を押さえたら後は数をこなそう」と言い続けているのですが、それこそがどの教科においても学問の王道なのではないかと思っています。                  (木村達哉「成績向上のための基本三原則」) ~


 今の、この時期だからこそ、どんな時も変わらない勉強の根本、すなわち「王道」を忘れないようにしよう。「基本を押さえ」「数をこなすこと」。どちらが欠けても成績は伸びない。
 思うように成績が伸びてない人は、どちらかに原因があるとも言える。
 基本があやしいままか、量が足りないか。たとえばいまだに単語が覚えられないと言う人もいるが、暗記する量が忘れる量を超えていないだけのことだ。
 「自分で考える力が大事、持てる知識をどう組み合わせられるかが試される」――
 新共通テストの目標だが、現時点での状況は、ほとんどの人が「知識」が足りない。
 考えるための材料が足りないし、表現するための言葉をもっていない。
 英語リスニングの重要性はわかっていると思うが、知らない単語は聞き取れない。
 一方で、必要以上に難しい問題に手を出して、歯が立たなくてあせっている例もある。
 実際の入試に、受験のプロみたいな人にしか解けない問題ばかりが出題されるわけではない。
 どちらかといえば、しかも難関大学になればなるほどよけいに、基本をどれくらい確実に身につけてきているかが問われる。基本とは「簡単」ということではなく「本質」ということだ。
 「応用」「難問」と言われる問題を解くために必要なのは、その問題の本質にせまる力である。
 表面的なテクニックではない。


~ 高3の生徒諸君は受験本番まで間がありませんが、
  ① 今こそ基本を大切にし、
  ② 誰よりもたくさん問題数をこなし、
  ③ 先を見据えて勉強をする、
 という姿勢でラストスパートに臨んでほしいなと願っています。 ~


 受験が旅であるなら、そこに勝ち負けは存在しない。
 「ここではないどこか」に飛び出してみたか、「ここ」にとどまっていたかがあるだけだ。
 「負け」に相当するものがあるとするなら、チャレンジしないことであろう。
 自分を虚心にみつめ、足りないことは足りないと認識することは大事なチャレンジだ。
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ウニクス南古谷イベント

2020年11月03日 | 日々のあれこれ
吹奏楽ライブ!! music by 川越東高校吹奏楽部

 日時 11月3日(祝)
     第一部 12:00~  第二部 14:00~

 場所 プラザ横イベント広場(雨天時:フードコート内)

 曲目 「君の瞳に恋してる」
    「JPOPメドレー ~ 紅蓮花 ~ エール ~ め組みのひと ~」
    「セプテンバー」
    「宝島」
    「ユーキャントストップザビート」

      ご来場、ご声援ありがとうございました!!
      やっぱりお客様に直接聞いていただける演奏は楽しいです!!


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「動的平衡(福岡伸一)」3 第二段落後半

2020年11月02日 | 国語のお勉強(評論)
15 日本が太平洋戦争にまさに突入せんとしていたころ、ユダヤ人科学者シェーンハイマーはナチス・ドイツから逃れて米国に亡命した。英語はあまり得意ではなかったが、どうにかニューヨークのコロンビア大学に研究者としての職を得た。
16 彼は、当時ちょうど手に入れることができたアイソトープ(同位体)を使って、アミノ酸に標識をつけた。そして、これをマウスに三日間、食べさせてみた。アイソトープ標識は分子の行方をトレースするのに好都合な目印となるのである。
17 アミノ酸はマウスの体内で燃やされてエネルギーとなり、燃えカスは呼気や尿となって速やかに排泄されるだろうと彼は予想した。結果は〈 予想を鮮やかに裏切っていた 〉。
18 〈 標識アミノ酸 〉は瞬く間にマウスの全身に散らばり、その半分以上が、脳、筋肉、消化管、肝臓、膵臓、脾臓、血液などありとあらゆる臓器や組織を構成するタンパク質の一部となっていたのである。そして、三日の間、マウスの体重は増えていなかった。
19 〈 これはいったい何を意味しているのか 〉。マウスの身体を構成していたタンパク質は、三日間のうちに、食事由来のアミノ酸に置き換えられ、その分、身体を構成していたタンパク質は捨てられたということである。
20 〈 標識アミノ酸 〉は、ちょうどインクを川に垂らしたように、「流れ」の存在とその速さを目に見えるものにしてくれたのである。つまり、私たちの生命を構成している分子は、プラモデルのような静的なパーツではなく、例外なく絶え間ない分解と再構成のダイナミズムの中にあるという画期的な大発見がこのときなされたのだった。
21 全く比喩ではなく、生命は行く川のごとく流れの中にあり、私たちが〈 食べ続けなければならない 〉理由は、この流れを止めないためだったのだ。そして、さらに重要なのは、この分子の流れが、流れながらも全体として秩序を維持するため、相互に関係性を保っているということだった。
22 個体は、感覚としては外界と隔てられた実体として存在するように思える。しかし、ミクロのレベルでは、たまたまそこに密度が高まっている分子のゆるい「淀み」でしかないのである。


Q14 「予想を鮮やかに裏切っていた」とあるが、どう「予想」していたのか。50字程度で抜き出せ。
A14 アミノ酸はマウスの体内で燃やされてエネルギーとなり、燃えカスは 呼気や尿となって速やかに排泄されるだろう

Q15 「標識アミノ酸」のはたらきとは、どのようなものであったか。26字で抜き出せ。
A15 「流れ」の存在とその速さを目に見えるものにしてくれた

「これはいったい何を意味しているのか」について、

Q16「これ」が指す実験結果とはどのようなものだったのか、60字以内で説明せよ。
A16 標識アミノ酸がマウスの全身に散らばり、あらゆる組織を構成するタンパク質の一部になりながら、体重は全く増えなかった。

Q17「何を意味しているのか」を具体的に明らかにしている箇所を154頁から40字以内で抜き出し答えよ。
A17 身体のあらゆる組織や細胞の中身はこうして常に作り変えられ、更新され続けている

Q18 この実験の結果、生物の個体とはどのようなものであると筆者は言うのか。30字以内で抜き出せ。
A18 たまたまそこに密度が高まっている分子のゆるい「淀み」

Q19 「私たちが食べ続けなければならない」のは、なぜか。
A19 生命を保つには、私たちの身体を形づくる分子の流れを止めてはいけないため。 


〈 シェーンハイマーの実験と発見 〉

 標識アミノ酸をマウスに食べさせる → 分子の行方をトレース

  予想 … アミノ酸は燃やされ、燃えカスが排泄される
       ↑
       ↓
  結果 … 標識アミノ酸がマウスの全身に拡がり、臓器・組織の一部になる 
      マウスの体重は増えない(=もとあった分子が排出された)

 生命を構成する分子
   ……静的なパーツ
        ↑ ではなく
        ↓ 
     絶え間ない分解と再構成のダイナミズムの中にある

 個体
   ……外界と隔てられた実体
       ↑ ではなく
       ↓ 
    たまたまそこに密度が高まっている分子のゆるい「淀み」

 生命……分子の流れの中にある・分子の流れ……相互に関係性を保つ
   ↓
 食べる=分子を流れさせる=生命を保つ
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「 動的平衡(福岡伸一)」2 第二段落前半

2020年11月01日 | 国語のお勉強(評論)

9 カルティジアンに対する新しいカウンター・フォースとして、私は次の可能性を考えている。それは生命が本来持っている動的な平衡、つまりイクイリブリアムの考え方を、生命と自然を捉える基本とすることである。
10 生命とは何か。
11 この永遠の問いに対して、過去さまざまな回答が試みられてきた。DNAの世紀だった二十世紀的な見方を採用すれば「生命とは自己複製可能なシステムである。」との答えが得られた。たしかに、これはとてもシンプルで機能的な定義であった。
12 しかし、〈 この定義 〉には、生命が持つ〈 もう一つの極めて重要な特性 〉がうまく反映されていない。それは、生命が「可変的でありながらサスティナブル(永続的)なシステムである。」という〈 古くて新しい視点 〉である。
13 二十一世紀、環境の世紀を迎えた今、生命と環境をめぐる思考の中にあって、この視点に再び光を当てることは、私たちにさまざまなヒントをもたらしてくれる。
14 生命が分子レベルにおいても(というよりもミクロなレベルではなおさら)、循環的でサスティナブルなシステムであることを、最初に「見た」のはルドルフ・シェーンハイマーだった。DNAの発見に先立つこと十年以上前(一九三〇年代後半から一九四〇年にかけて)のことだった。この、生命観のコペルニクス的転回は、今ではすっかり忘れ去られた研究成果である。

平衡……つりあっている・バランスがとれている状態
イクイリブリアム(equilibrium)……(力の)釣り合い、平衡、均衡、均勢、(心の)平静
ミクロ……微小 ←→ マクロ……巨大


Q9「この定義」とは何を指すか。抜き出せ。
A9 生命とは自己複製可能なシステムである

Q10「もう一つの極めて重要な特性」とは何か。本文の言葉を用いて25字程度で記せ。
A10 生命が、可変的でサスティナブルなシステムであること。

「古くて新しい視点」について

Q11 どのような「視点」か。
A11 生命を可変的でサスティナブルなシステムと捉える視点。

Q12「古くて新しい」と言うのはなぜか。
A12 現代では顧みられることのない過去の研究成果に基づく考えだが、 
   現在の私たちに新しい示唆をもたらす視点と考えるから。

Q13 いつごろの研究で明らかにされたものか。抜き出して答えよ。
A13 一九三〇年代後半から一九四〇年にかけて


 従来の定義「生命 … 自己複製可能なシステム」
    ↑
    ↓
 イクイリブリアム(動的な平衡)の考え方
    ∥
 古くて新しい視点
  「生命 … 可変的・サスティナブル(永続的)なシステム」
    ∥
 生命観のコペルニクス的展開
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ここではないどこかへ

2020年11月01日 | 学年だよりなど
  3学年だより「ここではないどこかへ」


 「模試を受けても判定がよくならないから志望校を変えるべきか」と相談してきた生徒に、木村達也先生が、こう答えている。


~ 判定で志望大学を変えると書いてありますが、止めたほうがいいですよ。
 その判定を見て、君のように変える生徒がたくさんいるんです。
 しかもその判定は、君が思っているほど精度が高くないです。
 広島大学の法学部に行きたいのであれば、そこにむけて大事なこと。
 それはまず「どうしても行くのだ」という気持ちを強くもつことです。
 広大が駄目なら、それならええっとええっと……というようなメンタリティーで難関大学には合格しませんわ。
 今の成績を伸ばせばいいんでしょ?
 CやDなら上等じゃないですか。それをBかCにする方法を考えるべきです。
 部活動をやっていましたか?
 この相手は強そうだから対戦するのは止めようとか考えましたか?
 勝つにはどうしたらいいだろうって考えませんでしたか?
 入試も、それ以後の人生も、すべて同じなんです。
 大人になればわかりますが、人生はそんなことの連続なんですよ。
 チャレンジするのを止めた結果、君はランクダウンした大学にも合格できないかもしれない。
 そんな気持ちの弱いことでは先が(つまりこれからの人生が)思いやられます。
 次に、家族と話をしているということですが、それは自分で決めるべきです。 (木村達也「キムタツブログ」) ~


 「家族もそれがいいと言ったから、志望校を変える」と言う例は実際にある。
 家族は本当にそれを願っているだろうか。そう言ってもらってるだけにしか思えないことは多い。
 そもそも、自分の人生の一大事を決めるのに家族の意見が必要だろうか。
 自分で決めてがんばろうとするからこそ、親はその後押しを惜しまないはずだ。
 戦略としての変更はあり得ても、弱気になって変えているようでは、木村先生の言われるように「これからの人生」にかかわってくる。
 受験は、「旅行」よりも「旅」に似ている。
 目的地が決まっていて、自分で予定を組んで、必要な交通機関を使えば到達できるという意味では、受験は旅行といえるかもしれない。
 しかし、受験の目的は旅行先ではない。大学に行くことが最終目的ではない。
 十分な準備をしても、確実に行けるとは断言できないし、そこに行ってから何をするか、どう変わるかが大事なのが「旅」だ。旅の目的地は場所ではない。
 目的地に行って楽しむのが「旅行」なら、ここではないどこかに行き、今と違った自分になるために足を踏み出すのが「旅」だ。受験の本当の目的はこっちにある。
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