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フェルメール全点踏破の旅 朽木ゆり子
先の連休中にTVで「フェルメールの暗号」という番組を見たのだが、2時間スペシャルの割には大変お粗末な内容でいらだたしかった。そのイライラを払しょくしたくて本署を読んだのだが、これが大変良かった。フェルメールの全作品を観て歩くという趣向だが、全点の紹介とともに、それらの絵画史的な意味合いや、フェルメールという画家の生涯、時代背景などが程良く解説されていて大変面白かった。とにかくすべての作品がカラー図版で載っているのがうれしい。できれば細部の解説にその部分の拡大写真があればもっと判り易かったのではないか。内容的には、この本を読んで初めて、日本にはフェルメールの作品が1つもないということを知った。バブル期に西洋名画を買い漁ったという印象のある日本だが、フェルメールだけはお金では買えない特別な画家だったということなのだろう。戦前にはヒットラーの恐喝にも負けずフェルメールを守ったという逸話などもあるようで、世界中の彼に対する敬愛の念はただ事ではない。それから、本署で「トローニー」という絵画ジャンルがあることを初めて知った。この言葉を知っていると、モデルは誰かといった余計な詮索をしなくてすむので便利だ。ちなみに私は、彼の作品37点のうち何点を見たことがあるか数えてみたのだが、確実にみたことを覚えているのが8点、所蔵している美術館を訪れたことがあるのでおそらく見ただろうと思われるのを入れると18点になる。ちょうど半分、残りを老後に取っておくのもよいかなと思う。(「フェルメール全点踏破の旅」朽木ゆり子、集英社新書)
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