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密室入門 有栖川有栖・安井俊夫
ミステリーは好きだが「密室物」はあまり好きではないものとして、いろいろ知識が増えれば少しは好きになるかもしれないなどと思って読んでみたのだが、それほどインパクトのある本ではなかった。密室の独自の分類が提示されているかと思ったら、大半はディクソン・カーや天城一の本をなぞっているだけだ。「密室物」が好きな人にはそれなりに面白い本なのかもしれないし、有栖川有栖というミステリー作家が好きな人には、今後の作品の展開の予想に役立つかもしれないが、どちらでもないものにとっての興味はどうしても別のところに行ってしまう。私の場合は、日本の生活様式が密室になじまないという話から、初期の探偵小説がそれをどう克服していったかというくだりや、建築家は居住空間に見えないバリアを作る事が出来るといった、建築家・安井俊夫の指摘がとても新鮮で面白かった。そういうことで、ミステリー・建築、どちらの興味からも面白く読めるという意味では間口の広い本ということができるかもしれない。(「密室入門」有栖川有栖・安井俊夫、メディア・ファクトリー)
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